【記者座談会】団体の賀詞交歓会 | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【記者座談会】団体の賀詞交歓会

A 新年を迎え、連日多くの業界団体が賀詞交歓会を開いている。平成の看板も今回が見納めとなるけど、ことしの雰囲気はどうだろう。
B 大手ゼネコンで構成する業界団体は、やはり総じて明るい雰囲気だ。ただ、足元で取り組まなければならない課題も多い。日本建設業連合会の山内隆司会長が建設業関係11団体の新春賀詞交歓会で「改正労働基準法の適用を見据え、本腰を入れた対応が求められている」と触れた働き方改革は、各社とも具体的な取り組みを始めている。あるゼネコン幹部が「4週6閉所までは何とかなるけど、問題はその先が難しい」と話したように、正念場はこれからだね。
C 改正出入国管理法で創設された「特定技能」の外国人材活用も話題の1つだ。建築内装関連メーカーの団体幹部は、「東南アジアの人材は、中国やシンガポールにも流れている。日本は賃金も高くないので、あまり試験を難しくしたり制約を設けすぎると人が来なくなる」と心配していた。
B 先行きがまだ見えない問題としては、免震ダンパー問題の対応と鉄骨・高力ボルトの納期延長を挙げる声が多い。ダンパーの問題は、ダンパーの取り換え対応というより、使用する製品の検査のあり方に各社社長の興味は移っている。鉄骨・高力ボルトは、「既に計画が決まっている案件では確保できている」という声が多いが、新規案件はもろに影響を受けるだろう。
A 設備業界はどうか。
D 建設産業界のほかの業種と同様、働き方改革への取り組みが中長期的な担い手確保につなげられるかを左右する1年になる。設備系団体の賀詞交歓会のあいさつの中では、残業削減と週休2日制の推進への強調が目立った。
E ただ、施工のピークを迎えていることから、昨年までの取り組みをさらに進展させなければならないことは分かっていながら、むしろ後退するリスクも抱える。改正労基法が4月に施行すると、ほかの産業との比較で、労働環境の差が一層目立つので、多忙であっても残業を減らし休日を増やすことは、担い手確保に向けた最低条件だろう。

堅調な国内市場を背景に出席者の明るい表情が目立った。写真は7日に開かれた建設業関係11団体の新春賀詞交歓会

コンサルは強靱化対策、ODA増額に期待

A 建設コンサルタントや建築設計界はどうか。
F 建設コンサルタント業界も国土強靱化緊急対策で受注環境が一段と良くなることに安堵感が漂っていた。来年度のODA(政府開発援助)予算の増額も確実視されるだけに、国内外とも好調だった昨年を上回る仕事量が期待できる。一方で働き方の観点からは今後より一層の改革が必要だと気を引き締める経営トップも多い。
G 建設コンサルタンツ協会の村田和夫会長はICTやBIM/CIMを日常化し業務効率を改善していくため、これまで以上の知恵を出す必要を訴えた。海外コンサルタンツ協会の有元龍一会長もデジタル技術をしっかり活用して生産性を高めていくことは必須だと強調していたね。
H 建築3会の新年交礼会では、日本建築学会の古谷誠章会長が災害対応、環境問題、地方・地域再生、ダイバーシティー、ワーク・ライフ・バランスを直近の課題に挙げつつ、建築設計界の信頼回復に向けた取り組みを強く呼び掛けたことが印象深い。働き方改革への対応も含めてさらに環境整備が求められる。
I 確かに建築界では昨年10月にオイルダンパーデータ改ざん問題が発覚し、大激震に見舞われたからね。12月に建築士試験の実務経験を実績要件から登録要件とする改正建築士法が成立し、1月には業務報酬基準が改定される見通しだ。こうした法制度の改正も含めた対応が本格化する1年になりそうだ。

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