【記者座談会】国交省幹部人事/建設関連団体のトップ交代 | 建設通信新聞Digital

4月24日 水曜日

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【記者座談会】国交省幹部人事/建設関連団体のトップ交代

 国土交通省の幹部人事が1日に発令された。

 事務方のトップである事務次官には山田邦博技監が就任した。旧河川局系の技官が事務次官に就くのは2012年の佐藤直良元次官以来、約10年ぶりだ。毎年のように激甚災害が起きる中での就任となり、水管理・国土保全局長や内閣官房の国土強靱化推進室次長を歴任した山田新次官の手腕に期待したい。

 後任の技監には吉岡幹夫道路局長が就いた。吉岡氏も将来の次官候補として名前をよく聞くが、このタイミングでの昇格をどう見る。

 過去にも技監を3年務めた上で、次官に就任したケースはある。先のことなので確実なことは言えないが、少なくとも今回の昇格で次官の目がなくなったと見るのは時期尚早だ。

 事務系の動きはどうか。

 国土交通審議官には石田優総合政策局長が就任し、その後任に和田信貴住宅局長が就いた。石田氏と同期の青木由行不動産・建設経済局長は内閣府の地方創生推進事務局長に転じ、後任の不動産・建設経済局長は長橋和久官房総括審議官を充てた。これまでのキャリアから見れば、各氏とも適任と言えるだろう。

 意外なイメージを受けたのは旧運輸省系の人事だ。栗田卓也前次官や山田新次官よりも入省年次が上である藤井直樹国交審が2年連続で留任となった一方、ここ数年間は2-3年継続して務めることが多かった観光庁長官が今回は1年で交代している。

 次官候補と目されていた水嶋智前官房長が北陸新幹線の開業遅れなどの問題で、鉄道建設・運輸施設整備支援機構の副理事長に転じるなど狂いが生じたのは事実だ。慣例どおりなら来夏の次官は旧運輸省出身者の順番だが、簡単には見通せない状況にある。

時代の転換期 新たな役割への決意強く


 6月4日の定時総会・理事会後に会見した海外建設協会の相川善郎会長(左)と前会長の蓮輪賢治副会長。コロナ禍を背景に海外受注実績が落ち込む中で、相川会長は「海外建設市場の重要性は変わらない」と強調し、ポストコロナ時代の海外インフラ整備推進に意欲を示した



 ところで3カ月にわたる総会シーズンもようやく終わる。

 ことしは例年以上に建設関係団体のトップ交代が多かったように感じる。宮本洋一会長(清水建設会長)をトップとする新執行体制のもと、国土交通省地方整備局などとの「公共工事の諸課題に関する意見交換会」を終えるなど順調なすべり出しとなった日本建設業連合会を始め、海外建設協会は相川善郎氏(大成建設社長)、日本ダム協会と土地改良建設協会はともに押味至一氏(鹿島会長)、日本建設業経営協会は中村信吾氏(中村建設社長)、日本橋梁建設協会は高田和彦氏(横河ブリッジ社長)、ロングライフビル推進協会は蓮輪賢治氏(大林組社長)が新会長に就いた。それぞれ時代の大きな転換期にあって今後求められる新たな役割への決意を強く表していたのが印象に残る。

 長期にわたって団体活動をけん引したトップの退任にも時代の変わり目を感じる。建設産業専門団体連合会は06年から会長を務めた才賀清二郎氏から3代目会長として岩田正吾全国鉄筋工事業協会会長がバトンを受け継いだ。才賀氏は建設現場を支える人材を育成する富士教育訓練センターを運営する全国建設産業教育訓練協会と建設産業共同教育訓練協議会の会長も退き、ともに後任の会長には山梨敏幸日本機械土工協会会長が就任している。

 全国地質調査業協会連合会も5期10年にわたり会を率いた成田賢氏(応用地質社長)から田中誠氏(中央開発社長)にバトンが渡った。ほかにも建設コンサルタンツ協会の新会長に野崎秀則氏(オリエンタルコンサルタンツ社長)、都市計画コンサルタント協会が小出和郎氏(都市環境研究所会長)、日本設備設計事務所協会連合会は高木俊幸氏(アークテクノ代表取締役)が就いた。アフターコロナを見据えながら多様化・複雑化する社会課題解決にどうリーダーシップを発揮していくか、期待したい。



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