【記者座談会】18年度予算の概算要求 公共事業関係は7兆1000億円、担い手育成支援も | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【記者座談会】18年度予算の概算要求 公共事業関係は7兆1000億円、担い手育成支援も

文化庁が整備費などで42億7000万円を計上している国立アイヌ民族博物館の建物イメージ


A 2018年度予算の概算要求がまとまった。要求額の状況は。
B 一般会計の要求総額は100兆9586億円となり、要求段階では4年連続で100兆円を突破した。総額は17年度の要求額を下回ったものの、97兆4547億円の17年度予算と比べると約3%増加している。
C 財務省は98兆円程度まで絞り込む考えだ。年末までの予算編成作業で3兆円程度を圧縮する必要があるが、社会保障費を始めとした多くの分野で歳出拡大の圧力が強い。
A 概算要求の特徴はどうだろう。
D 安倍政権の看板政策である「人づくり革命」「働き方改革」を意識した要求が多い。国土交通省や農林水産省などが関係業界の人材確保、担い手育成の支援を強力に打ち出している。
B 予算要求額を明示せず要求項目だけを示す「事項要求」も目立つ。18年度要求に限ったことではないが、現政権になってから増えている印象が強い。例えば、待機児童対策の財源探しなどだ。
A 建設産業界が注目する公共事業関係費はどうなっている。
D 国交省の公共事業関係費は6兆0237億円と、要求段階では4年連続で6兆円を上回った。農林水産省は8222億円で20%増だ。公共事業関係費を計上している6府省の合計では、7兆1000億円弱となる。
C 公共事業関係費は12年度まで減らされ続けていた。13年度からは5年連続して前年度当初予算と比べ増加している。ただ、15-17年度の3年間は毎年、計ったように前年度比26億円増の微増だ。17年度の予算額は5兆9763億円だが、18年度予算で6兆円を確保できるのか、それとも、近年のように伸び率「0.0%」の微増にとどまるのか、年末の決着が注目される。
A 具体的な事業の動向についてはどうだろう。
D 国交省の局別予算要求を概観すると、道路関係予算は国費ベースで16%増の1兆9371億円、鉄道局の公共事業関係費は9%増の1085億8500万円。水管理・国土保全局は15%増の9715億1600万円で、新規にダム再生計画策定事業を創設する。官庁営繕費は17%増の208億1000万円。このうち、官庁施設の老朽化対策などに66%増の76億3500万円を要求している。築後30年以上の官庁施設が4割を超えているためだ。国交省は、全国的な課題となっている空き家や空き地、所有者不明の土地の有効活用などの予算を要求している。
B 交通分野では、首都圏空港などの機能強化や地方空港の活性化の要求も目立つ。北海道、北陸、九州・長崎ルートの整備新幹線の建設には、前年度と同額の755億円を盛り込んでいる。また、神奈川東部方面線の整備、福岡市営地下鉄七隈線の延伸、おおさか東線の放出~久宝寺間の整備などを進める。駅のバリアフリー化、地域鉄道の安全性の向上、防災対策の充実、鉄道技術の海外展開などの予算も計上している。
E 環境省による中間貯蔵施設整備などの要求額は、1.7倍増の3210億0500万円だ。このうち、施設建設費と運営管理、除去土壌の輸送などに2746億円を計上した。
F 建築系プロジェクトでは、復興庁が岩手、宮城、福島の3県の国営追悼・祈念施設に関連して22億円を要求した。文化庁は「国立アイヌ民族博物館」の整備費などで42億7000万円を計上している。

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