【記者座談会】資材価格上昇で影響は?/働き方改革のかぎは建設キャリアアップシステム | 建設通信新聞Digital

5月4日 土曜日

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【記者座談会】資材価格上昇で影響は?/働き方改革のかぎは建設キャリアアップシステム

鋼材価格は上昇を続けている


A ここのところ、資材価格が上昇しているようだ。ガソリン、鉄、セメントなど、どれも上昇基調にある。ゼネコン各社の利益率に影響を与える可能性もあり、今後の動向が気になる。
B 昨年12月、セメント各社が相次いで値上げを発表した。まず、最大手の太平洋セメントが約6年ぶりの値上げを発表し、その後、宇部三菱セメントと住友大阪セメントも追随した。石炭価格や輸送コストのアップが背景にある。
C 鉄も同じだ。棒鋼やH形鋼の価格が上昇を続けている。棒鋼は原料となる鉄スクラップが値上がりしたほか、H形鋼も鉄鉱石価格の上昇の影響を受けた。原材料の価格はさまざまな要因が複雑に絡み合って上下するため、なかなか先を見通すことは難しい。
D 加えてメーカー各社にとって共通の悩みは、輸送コストの上昇だ。トラックドライバーの不足などが背景にある。あらゆる資材に共通した課題で、深刻な問題だ。極端なケースでは、輸送面がボトルネックとなって生産調整せざるを得ない、といった局面に入る可能性もある。
B 都心部などでは着工を控えた大型再開発が複数ある。大型オフィスビルの多くはS造を採用するため、鋼材価格上昇の影響を受けやすい。一方、地方都市でもホテルなどの建設計画が相次ぐ。最近のホテルはS造が増えている。
C 一定の期間に多くの工事が集中すれば、需給バランスの面からも、資材価格の上昇圧力が高まる。価格上昇がいつまで続き、どの程度まで上昇するのか、引き続きその動向を注視していく必要がありそうだ。

キャリアアップシステム本格運用には社保加入が前提

A 話は変わるけど、1月に入ってからの話題といえば、保険未加入企業は建設業許可を認めないとか。法定福利費の確保状況などの実態調査を公表したり、国土交通省の社保未加入対策がクローズアップされている感じだけど。
B それは当たっている。いま、社保未加入や法定福利費支払い実態に行政や建設業界が関心を寄せる背景には、建設キャリアアップシステムの登録が4月から始まることがあると思う。キャリアアップシステムの推進役である大手・準大手ゼネコンや、大手元請団体である日本建設業連合会の立場で極論すれば、安倍政権の2つの革命「人づくり革命」「生産性革命」のうち、人づくり革命を支える働き方改革の成功のかぎは、建設キャリアアップシステムの本格運用にかかっている。そして、本格運用には社保加入が前提となる。だから、社保未加入問題に目を背けるわけにはいかないという理屈だ。
C その意味では昨年12月に閣議決定した新しい経済政策パッケージも今後、確実に実行されるだろう。政策パッケージは安倍政権にとって今後の経済成長戦略の柱になるもの。この中には、中小建設業がこれまで大きな問題として提起していた事業承継に対しても納税の全額猶予などの特例を認めたり、建設工事で加速するICT工事への対応に予算やノウハウ提供などを行う、中小企業支援が柱になっている
D 中小企業支援だけじゃなく、大手企業などには技術開発・技術革新を求め、そのインセンティブにも言及しているのも大きな特徴と言える。
A だとすると今後開かれる通常国会の審議動向に連動する形で、社保未加入問題だけでなく、さまざまな施策が話題になりそうだね。

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