【大大阪モダニズム】片岡安の功績たどる特別展@大阪くらしの今昔館 9/2まで | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【大大阪モダニズム】片岡安の功績たどる特別展@大阪くらしの今昔館 9/2まで

 大阪くらしの今昔館(大阪市)で、特別展「大大阪モダニズム-片岡安の仕事と都市の文化-」(共同主催・常翔学園)が開かれている。大正から昭和初期の「大大阪時代」に建築や都市計画の分野で活躍した建築家・片岡安の功績をたどりつつ、美術や印刷物の展示を通じて当時の大阪の活気にあふれた様子を紹介している=写真。会期は9月2日まで。入場料は300円。
 大大阪時代は、第2次市域拡張によって大阪市の人口が東京市を上回り、国内最大ならびに世界6位の都市となった1925年前後にヒト・モノ・カネが大阪に集中し、活況を呈した時代。
 片岡は大阪市中央公会堂や市役所庁舎(3代目)の実施設計を手掛けたほか、日本建築協会の初代会長、関西工学専修学校(現大阪工業大学)の初代校長を務め、大阪の基礎を築いた。片岡の作品を紹介するほか、中央公会堂の設計コンペ設計図案を出展。大阪市役所で最近発見された「みおつくしの鐘の時報装置」なども展示している。
 そのほか、小出楢重らが大大阪の風景を描いた絵画作品や常翔歴史館所蔵の古地図、展示監修を手掛けた美術史家の橋爪節也阪大教授所蔵の百貨店や劇場の広告印刷物なども展示している。同館学芸員の東由梨さんは「いかに大阪が都市として洗練されていたのか、ぜひ見て感じてほしい」と話す。
 19日には、橋爪教授による講演会「映画『大大阪観光』を読み解く~都市観光・モダニズム・政策プロモーション~」も開き、約150人が参加した。
 大大阪観光は37年に大阪市電気局と同産業部が共同制作した海外向けの都市プロモーション映画で、当時の産業、商業、工業、豊かなまちなみなどを紹介している。橋爪教授は「当時、大阪市が何を世界にアピールしたかったのかがよく分かる。製作後すぐに戦争に突入してしまい、あまり日の目を見なかったが、この時代の様子が垣間見られる貴重な資料だ」と話した。

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