【建築と子どもたち】教育専門家と連携し"本気の学び、深い学び"に 建築学会子ども教育支援建築会議シンポ | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【建築と子どもたち】教育専門家と連携し“本気の学び、深い学び”に 建築学会子ども教育支援建築会議シンポ

 日本建築学会子ども教育支援建築会議は6日、仙台市のせんだい3.11メモリアル交流館で楽々建築・楽々都市@仙台Architecture and Children「子どもたちに建築を通して伝えてきた30年の歩みとこれから」をテーマとするシンポジウムを開いた。仙台市を拠点に活動する「建築と子供たちネットワーク仙台」などと地域の学校との関わり方を踏まえながら、教育者の立場から専門家との連携による“本気の学び、深い学び”を実現するデザイン学習の効果などが紹介された。
 1993年に「建築と子供たちネットワーク仙台」を創設した細田洋子氏は、米国発の“建築と子どもたち”との出会いを振り返りつつ、視覚言語の手法や、哲学とゲシュタルトとデザインの関係、スタディー模型づくり、バブルダイアグラムの作成、グループによる共同作業へと展開させていくデザイン演習プログラムの流れを紹介した。
 震災後に「全国で初めて防災安全科を創設した仙台市立七郷小学校の大内恵美教諭は、山形大学や竹中工務店との連携による“未来の七郷まちづくり”の取り組みを紹介しつつ、「6年間学んできた子どもたちの集大成となる。明るく希望があるまちを担う人材が育ってほしい」と語った。
 2002年に「建築と子供たち」と出会って以降、異動先でもデザイン学習で連携してきた仙台市立六郷小学校の菅原弘一校長は、「デザインにおける約束事は、完全な自由よりも子どもの発想を活発化させる」とし、知識や創造力を支えるトレーニングとなるデザイン教育プログラムの効果を強調した。さらに学校の先生は、教科書的な正解に導きがちだが、「現実社会の多様なつながりの中で、総合的に学習を展開していくことで、創造的な問題解決能力を高めることができる」と語った。
 連携による効果は、先生の立場から見て「専門家の視点やプログラムは授業の質の向上につながり、対話を通して新たな気づきや再認識につながる」とした。また、子どもにとっては、専門家のアドバイスが「考える幅の広がり」となり、賞賛は「自信と意欲の持続」につながるとした。
 模型製作では「具体的・現実的に考える訓練」であり、参加体験は「学習に現実感」を与え、質の高い成果物は「やりがい・達成感」に結びつくなど、「本気の学び・深い学びが期待できる」とした。「デザイン学習との因果関係は不明」としつつも、ことしの全国学力テスト学習状況調査では、デザイン学習を取り入れた学年は「自己肯定感や地域との関わりなどに関する項目で全国や県の平均を大きく上回る結果だった」ことを報告した。

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