【復興支援道路】観光や地方創生に期待 霊山~伊達桑折ICが供用で相馬福島道路が全線開通 | 建設通信新聞Digital

4月20日 土曜日

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【復興支援道路】観光や地方創生に期待 霊山~伊達桑折ICが供用で相馬福島道路が全線開通

 東北地方整備局が、福島県内で整備を進めてきた東北中央自動車道霊山IC~伊達桑折IC間10.2㎞が24日に供用した。これにより東日本大震災の復興リーディングプロジェクト・復興支援道路の相馬福島道路約45㎞が全通した。沿岸と内陸の連携強化や地域産業と広域観光交流の活性化、迅速で安定した救急医療活動の支援などの整備効果が期待される。

伊達桑折IC


 沿岸の常磐自動車道と内陸の東北自動車道を結ぶ横軸の相馬福島道路は、相馬市山上を起点に桑折町大字松原に至る地域高規格道路。これまでの主要路線だった国道115号は、震災時に被災地の救助・救援や支援物資の輸送などの防災面でも重要な役割を果たす一方、線形不良個所や事前通行規制が多く、信頼性や速達性に課題があった。

 震災後に“復興支援道路”として全線の事業化が決定。2011年11月に着工式が開かれ、測量等立入説明会や中心杭設置式、設計測量説明会、用地契約を経て13年2月には相馬西道路が着工。その後、わずか8年という異例のスピードで全線供用開始を迎えた。

 このうち、霊山~福島間12.2㎞は、東北道と接続する桑折JCT~伊達桑折IC間が20年8月に開通。残る10.2㎞は20年度中の完成を目指して工事を進めてきたものの、最大震度6弱を記録した2月の福島県沖地震で橋梁の伸縮装置の補修が必要となり、供用時期を延期した。

 全線が開通したことで相馬市役所から福島市内の県立医科大学付属病院までの搬送時間は約25分短縮され約60分となった。さらに0.15G以上の左右加速度回数は141回からゼロになるなど、大幅な時間短縮と安定した緊急搬送による“命の道”としての役割を担う。

 また、震災以降の東北中央道整備や相馬港の復旧・復興の進展に伴い、相馬地方では工場28件が新増設され、その設備投資額は約1898億円を超える。さらに県内陸部や隣接する山形県との往来の活発化による交流の拡大なども進んでいる。

 伊達桑折IC付近で開かれた開通式には、赤羽一嘉国土交通相や平沢勝栄復興相、内堀雅雄福島県知事、須田博行伊達市長を始め沿線の首長ら約50人が出席。代表者によるテープカットに続いて、くす玉が開披され、関係者が待望の開通を祝った。

テープカットとくす玉開披


 席上、あいさつに立った赤羽国交相は「万感胸に詰まる思いでこの日を迎えることができた。用地提供者を始め、事業推進に尽力されたすべての関係者に感謝したい。この道路が観光振興や地方創生、被災地のまちづくりにつながることを期待するとともに、今後も地域に寄り添って復興に全力で取り組む」と強調した。

赤羽国交相


 内堀知事も「復興と地方創生を力強くけん引することを期待している。今後とも県土づくりと復興の礎となる社会資本整備を進め、新生・ふくしまの実現に全力で取り組む」と述べた。

内堀知事


 また、高速道路建設利活用促進相馬協議会長の立谷秀清相馬市長は「これまで相馬地方は仙台方面を向いてきたが、相馬福島道路の完成で福島県北地域としっかり結びつくことができる。産業・医療・観光面で互いの交流を実感できる時代が訪れた」と喜びを語った。



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