【記者座談会】豊洲市場が10月11日開場も築地はどうなる/中野サンプラザ再開発続行の決断なぜ | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【記者座談会】豊洲市場が10月11日開場も築地はどうなる/中野サンプラザ再開発続行の決断なぜ

A 豊洲市場が10月11日に開場するね。13日の開場式典では、小池百合子東京都知事が「食文化の新たな発信拠点へと、大きく育てていきたい」と力強くあいさつした。
B 築地市場の豊洲移転により、敷地面積は築地のおよそ1.7倍の約40haとなり、商品特性にあったエリアごとの適温管理ができる「閉鎖型」となったのが特徴だ。とは言え、小池知事による開場延期の発表に始まり、追加対策工事などで、開場は当初予定から2年近く遅れることになった。

10月13日の開場式典に先立ち場内を 視察する小池知事

C 一時期は豊洲移転に加え、築地再整備案も浮上するなど、着地点が見えない時期もあった。そのような中、小池知事が発表したのが、市場機能を豊洲に移転して、築地市場跡地を民間事業者と再開発する市場の両立案だった。これに対して、豊洲市場に千客万来施設を整備する事業者が「競合施設ができる」として反発した。協議の結果、事業者が2020年10月までに施設を着工し、22年12月までに完成させ、五輪までは都が敷地を暫定活用することで合意した。
B ただ、都が設置した築地再開発検討会議がことし5月にまとめた報告書には、具体的な内容は何も示されず、いまだ先は見えない状況だ。
C 市場移転の遅れは、豊洲だけではなく、築地市場を通る環状2号の整備にも影響が及ぶ。環状2号の本線トンネル開通も当初予定していた20年東京五輪には間に合わず、22年度と2年近く遅れることとなった。市場移転後の1カ月以内に暫定迂回(うかい)道路を、19年度末に地上部道路を開通させるが、今後の交通需要に対応できるか不安も残る。築地市場は20年2月までに解体し、五輪期間中は車両基地として活用する計画だ。

中野駅周辺の将来像を描けるか

A 話は変わるけど、東京都中野区でも目玉事業をめぐって大きな動きがあった。中野サンプラザの再開発に“待った”をかけていた酒井直人中野区長が、再開発の続行を表明した。前区政の計画どおり、庁舎とサンプラザの一体開発を進めることになる。選挙中からどのような経緯で今回の決断に至ったのか。
D 「当初はサンプラザの更新を考えていたが、選挙戦の中でサンプラザを残して欲しいという方が相当数いた」と振り返った。「当初の予定では、6月の就任直後に都市計画審議会で解体を前提とする案を出す予定になっていたが、そこではいったん中止し、4カ月の期間で具体的な数字を示しながらなるべく多くの区民の意見を聞いてきた」と説明している。
A 就任から4カ月で建て替えの可否を決断したことになる。このタイミングで発表した背景は。
D 18日の会見では、区民から中野駅西口改札の早期開設を求める声が多かったことから、「決断を遅らせるわけにはいかない」との考えを示した。
E 財源の問題も大きそうだ。そもそも庁舎整備と中野サンプラザの再開発とは、財源の面から切っても切り離せない。一方で、サンプラザの保存を求める声も根強いことから、デザインの一部や名称を引き継ぐ可能性もある。
A 区長は就任後、中野駅全体を俯瞰したまちづくりに取り組む意志を示してきた。サンプラザ跡地を含む駅周辺の将来像はどう考えているのかな。
E まちの課題として、グローバル化する来街者への対応が十分でないことと、区役所・サンプラザ地区とその東側の飲食店街の回遊性が悪いことを挙げた。エリア全体に求められる機能として、親子連れで楽しめる施設や福祉関連施設なども検討したい考えだ。

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