【記者座談会】18年7月豪雨から1ヵ月/小池都政が2年経過 | 建設通信新聞Digital

5月4日 土曜日

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【記者座談会】18年7月豪雨から1ヵ月/小池都政が2年経過

◆本格的な復旧・復興はこれから

A 西日本を中心に大きな被害をもたらした2018年7月豪雨災害の発生から1カ月が経過した。
B この1カ月間で応急復旧は進んだ。しかし、本格的な復旧・復興にはまだまだ時間が掛かりそうだ。決壊した堤防、道路、鉄道などインフラだけでも非常に多くの仕事が残されている。
C ダムや河川改修、砂防堰堤など防災インフラが被害の軽減に大きく貢献した。その一方で、複数の河川で堤防が決壊したのも事実だ。決壊した部分を、土のうなどで応急対応しているエリアも多い。
D 気候の大きな変化、自然災害の頻発・甚大化という現状を踏まえ、インフラ整備のあり方も見直す必要があるのではないか。従来の仕様では、最近の自然災害に耐えられないケースが実際に出てきている。中には古い構造の防災インフラもあり、今後、改修や再整備などを進める必要がありそうだ。
C 東日本大震災でも、防潮堤などの再整備に向けて高さや強度のあり方などが議論された。インフラ整備のあり方に加え、避難指示などソフト面の対策も気候変動に対応していく必要がある。
B 気候変動といえば、日本全国で最高気温が上昇している。気象庁も連日の猛暑を踏まえ、「猛暑を災害と認識すべき」と記者会見で注意を呼び掛けた。
D 夏休み期間中には、建設現場の見学会なども多く予定されているが、見学者が欠席するケースも多いようだ。受け入れ先の現場からも、「見学者が熱中症にならないか心配だ」との声が聞こえてくる。
C 猛暑はアメリカや西ヨーロッパ、アフリカなど世界的に大きな課題となっている。この地球規模の課題に人類はどう向き合うべきか。課題解決はビジネスチャンスでもある。建設業界の知見にも期待したい。

◆入札制度改革、築地市場移転停滞が話題に

A 話は変わるけど、東京都の小池百合子知事が就任して2年が経過した。
E まず思い浮かぶのは入札契約制度改革だろう。小池知事主導のもと、2017年6月から試行が始まり、業界団体へのヒアリングや入札監視委員会の検証などを経て、ことし6月からの本格実施では、試行時の『1者入札の中止』を撤回し、予定価格は、低価格帯のみ事前公表から事後公表に切り替えた。
F ただ試行から本格実施までの1年間、入札不調や1者入札の中止などで、事業者選定の遅れによる事業停滞などがあり、決して成功したとは言えない。小池知事は「試行の結果を踏まえた改善策」と説明したが、都議会自民党は「結局、ほとんどの制度運用を改め、元に戻しただけ」と批判した。
A 築地市場の豊洲新市場への移転や関連事業も停滞した。
E 小池知事は16年8月、安全性への懸念などを理由に、16年11月を予定していた築地市場の豊洲市場移転の延期を決定した。都が設置した専門家会議の提言に基づき、都は追加対策工事を実施した。また基本方針では、市場機能を豊洲に移転した上で、築地市場跡地は民間事業者とともに再開発するという市場両立論を示した。豊洲市場に千客万来施設を整備する事業者が、競合施設ができると反発し、結果として着工時期が五輪後に先送りされることとなった。
F 豊洲市場の開場が2年近く遅れたことに伴い、築地市場を通る環状2号の本線トンネル開通も当初予定の20年東京五輪には間に合わず、22年度と2年近く遅れる。暫定迂回道路をことし10月11日の市場移転後の1カ月以内、地上部道路を19年度末に開通させることで対応する予定だ。
A 事業停滞による課題を解決して五輪を迎えてほしいものだ。