【記者座談会】能登半島地震の災害対応/高速道路の更新と耐震化加速 | 建設通信新聞Digital

4月27日 土曜日

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【記者座談会】能登半島地震の災害対応/高速道路の更新と耐震化加速

◇政府、予備費1.5兆円を当面活用/地震時のミッシングリンク解消

A 当社の取材班が18日、能登半島地震の道路啓開現場に入った。取材した記者に現地の様子を聞きたい。

B 能登半島の北端に向かうほど被害がひどく、石川県の輪島市中心部は多くの家屋が倒壊し、言葉がなかった。懸命に道路啓開などに取り組む工事関係者をはじめ、緊急対応に当たっている方々には頭が下がる思いだ。

C 寒気がピークを迎える中、降雪が心配だ。復旧工事の現場はもちろんだが、被災地にアクセスする道路の交通にも影響を及ぼす恐れがある。路面には無数の亀裂や段差があり、平時と同様の除雪は難しい。車の立ち往生が発生すると、支援物資や工事資材の輸送が滞ってしまうだろう。

A 地震発生から1カ月弱が経過し、政府は矢継ぎ早に対応を打ち出している。

D 2024年度予算案の変更、災害復旧事業の国庫補助率をかさ上げする激甚災害への指定、幅広いインフラ復旧を国が代行できる大規模災害復興法の非常災害指定など、財政面の手当てを中心に講じている。予算の心配から被災自治体などが災害対応をためらってはいけないからね。

C 中でも閣議決定した予算案を変更するのは異例だ。

B スピード感を重視した。当初予算案とは別に補正予算案を編成すると、それぞれ国会審議が必要になるため、当初予算案に絞ることで早期の成立を目指す。閣議決定済みで国会提出前の予算案変更は過去3例しかないようだよ。

D 当面は、23年度予算で残っている0.5兆円と24年度予算案で1兆円に積み増す両年度の予備費計1.5兆円を活用する。25日にまとまった「被災者の生活と生業(なりわい)支援のためのパッケージ」に対し、23年度予備費から26日にも1500億円規模の使用を決定する。

能登半島地震によって各地で道路が寸断された。いまも道路啓開が続く


A 補正予算はどうなる。

B 被害の全容を把握できていないこともあり、まずは使途が限定されない予備費の活用を選択した。これだけの巨大災害だから、本格的な復旧・復興フェーズになれば補正予算を求める声が各方面から上がってくるだろうね。

A 能登半島地震では、インフラの重要性が再認識されたとも言えるよね。災害時の緊急輸送道路となる幹線道路の機能確保は喫緊の課題だ。

B NEXCO3社と首都高速道路、阪神高速道路の5社は16日、24年度に着手する更新事業の計画を明らかにした。

C 5年に1度の法定点検で判明した更新が必要な箇所をまとめたもので、5社の事業費は総額1兆5229億円、延長は556㎞に上る。

D 費用は膨大だけど、5社は更新事業に当たり、維持管理性の向上やコスト縮減、新技術の活用などに取り組むとしている。必要な対策を着実に進めてほしいね。

A NEXCO3社と本州四国連絡高速道路は、既設橋梁の耐震補強を加速させる方針も打ち出した。

C 24年度から年290橋を補強し、大規模地震の発生確率が26%以上の地域で30年度末までに地震時のミッシングリンクを解消する予定だ。

D 上下線の橋脚が分離している橋梁では、どちらか一方の橋脚補強を優先させて片側整備をするなど最低限の機能を維持し、大規模地震時の緊急輸送道路としての機能を確保する考えも示している。

B 日本はどこで地震が発生してもおかしくない災害大国。特に首都直下地震や南海トラフ地震は近い将来の発生が懸念されている。

A 23年は関東大震災から100年の節目の年で、一人ひとりが地震へ備えることの重要性を感じる年でもあった。

D 能登半島地震を通じて、改めて災害の被害を最小化する国土強靱化が求められていると感じたね。

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