【防災・減災、強靱化へ役割高まる】土木学会の災害調査実績 調査団・団員の派遣数が増加 | 建設通信新聞Digital

4月23日 火曜日

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【防災・減災、強靱化へ役割高まる】土木学会の災害調査実績 調査団・団員の派遣数が増加

 土木学会(家田仁会長)が学会活動などを周知するため、毎年の活動内容を統計的にまとめている「見える化データ」によると、近年の災害調査団の派遣実績(国内)は派遣回数、団員数とも増加傾向にある。自然災害の頻発・激甚化を裏付けるとともに、防災・減災、国土強靱化の観点から同学会が果たす役割が高まっていることがうかがえる。

 土木学会では国内外を問わず、大規模災害が発生した場合に災害対策本部を設置し、被災地に調査団を派遣している。専門的な調査を実施した上で学術・技術的見地から発災メカニズムを解明し、防災上の提案につなげている。

 4日に発表した「見える化データ2020」では、19年度に発生した山形県沖地震、佐賀豪雨、台風19号に対して調査団を5回、延べ161人の団員を派遣した。東日本大震災関連(11年度以降で調査団の派遣回数67回、延べ団員3700人)を除けば、派遣団員数は単年度で過去最高となった。台風19号の災害総合調査団は「台風第19号災害を踏まえた今後の防災・減災に関する提言-河川、水防、地域・都市が一体となった流域治水への転換」を提言した。

災害調査団派遣実績


 また、団員の派遣人数は05-14年度が50人以下(各年度の派遣回数は3回以下)だったのに対し、15年度が85人(派遣回数1回)、16年度が131人(14回)、17年度が52人(2回)、18年度が144人(7回)と増加傾向。自然災害の発生頻度と規模に変化がみられる。

 03、04年度は地震、風水害が集中し、調査団の派遣回数が各5回、団員が延べ約100人だった。

 海外で発生した大災害にも調査団を派遣している。14、16、19年度を除き、1999年度以降は毎年のように海外で調査活動を実施している。調査団の派遣回数は38回、団員は延べ396人に上る。スマトラ地震が発生した05年度は派遣団を4回、団員67人を派遣し、いずれも海外調査の過去最多となっている。

■女性会員は98年度比で3.2倍増
 土木学会の19年度の個人会員数は3万8128人で前年度からほぼ横ばい。ただ、女性会員が占める割合は0.3ポイント増の5.6%と上昇している。1998年度と比べ、3.2倍増加した。学生会員の割合は12.4%となっている。

 個人会員の所属については、建設業(33.9%)と建設コンサルタント(20.5%)が半数以上を占めるが、学校・学会や製造業・その他民間、官庁・独立行政法人・地方公共団体もそれぞれ約1割に達する。

土木学会会員数
(2020年3月末現在)

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