【記者座談会】山林火災も激甚化/群馬建協が時間外労働規制で提言 | 建設通信新聞Digital

5月30日 金曜日

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【記者座談会】山林火災も激甚化/群馬建協が時間外労働規制で提言

◇役割増す地域建設業 問われる避難所の在り方/

A 岩手県大船渡市の山林火災発生から1週間以上がたつ。6日正午時点では、懸命な消火活動にも関わらず、いまだ鎮圧には至っていない。

B 消失範囲は、市の面積の9%に当たる約2900haにも上るという。同県内の他地域でも山火事は複数件起こっていて、2月には岩泉町が建設業団体と結んだ災害協定に火災に関する項目を追加して体制強化を図っている。

C 栃木県や山梨県など、関東に目を向けても大規模な山火事が起きている。今回の火災を機に、地域建設業と連携する動きがさまざまな自治体で加速するかもしれない。
A 災害の激甚化が叫ばれる昨今では、そうした流れはもはや必然ともいえる。地域建設業の重要性は全国的にさらに増しているわけだね。

B 大船渡市では火災に伴って複数地域で避難指示が発令されている。能登半島地震などを踏まえ、仕切りを設置するなど以前よりも避難所環境は改善されているものの、ペットが同伴できないなどの課題も浮き彫りになっているという。

C 南海トラフ地震や首都直下地震といった大規模災害への危機感が高まる中、避難所の在り方も問われている。東京都は2月、「東京都避難所運営指針」の素案を公表した。ペットの受け入れ準備不足やプライバシーが確保されない狭い生活空間、栄養・健康管理が不十分な食事などが、これまでの避難所の主な課題としてまとめられている。

B 指針には要配慮者への対応や入浴機会の確保、栄養バランスやアレルギーなど、多様なニーズに配慮した食事提供などに向けた取り組みも示された。被災者の命を守り、健康で過ごせる避難所の整備も防災力の底上げに向けて欠かせない要素の一つだ。

群馬県建設業協会の青柳剛会長は「年720時間、月45時間超は6カ月までの規制の緩和」を提言した

◇工事場所、業界の特性踏まえた働き方を/

A ところで、時間外労働規制の適用開始から1年となるのを前に、群馬県建設業協会は人手不足が深刻化する地域建設業の実情に合わせた時間外労働規制が必要と訴え、「年720時間、月45時間超は6カ月までの規制の緩和」を提言した。

D 建設業は猛暑や積雪、荒天といった天候に左右されて現場作業ができないことを考慮すべきとしている。屋外作業が避けられない建設業ならではの問題提起と言える。

E 長野県建設業協会も2024年末に開いた県との意見交換で、全国一律の週休2日制度の撤廃と新たな制度への切り替えを要望している。

D WBGT(暑さ指数)を基にした休憩時間を17年時点と23年時点で比較すると長野市で226.75時間から366.50時間、比較的標高の高い信濃町でも64.75時間から139時間に拡大していることを指摘した。作業ができない夏季でのバカンス休暇の採用や日差しの強い時間帯を避けた早朝からの作業などを例示し、改善を求めている。

E 異常気象に伴い夏場の暑さは深刻度を増している。何らかの対策は必要だ。一方で建設業の年間休日は他産業に比べて短く、長時間労働の是正も担い手確保のために必要な取り組みであることは間違いない。

D 石川労働局と北陸地方整備局の両局長は、地震と豪雨の二重災害となった能登半島での復旧・復興に携わる建設業の適切な労働環境を確保するため、石川県に対して適正な工期設定などを要望した。県内市町への周知・徹底も求めている。地元の建設業協会も歓迎の意向を示しているという。

E 働きやすい職場づくりに向けて、場所や仕事の特性を踏まえた労働環境が構築されることを期待したいね。



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