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【連載・海外プロジェクト最前線6】遅延通知・実績工程を地道に/システックインターナショナル シニアマネジングコンサルタント 大野紳吾

最終更新 | 2023/10/24 10:56

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 前回は、日系建設会社の課題(契約管理や工程管理)と事例について解説しました。では、日系以外の建設会社が、契約条項を守り、工程管理をきっちりとできているかと言えば、そのようなことはありません。

 以前、私が中東の空港プロジェクトで発注者側のプロジェクトマネジャーをやっていた時のことです。分離発注された50以上のコントラクターが同時に建設を進めるという複雑なプロジェクトで、私が担当していた契約パッケージはヨーロッパの製造メーカーが受注しました。彼らが得意とする機器の分野では世界シェア1、2位を争う大手で技術的にもしっかりとした会社でしたが、契約管理、工程管理はまったく不慣れでした。(1)機器製造のスケジュール管理は慣れているのですが、工程を作るという習慣がなく工程ソフトを取り扱える人材もいないため、契約工程を何カ月も提出することができないという状況が続きました(2)さまざまな理由で工程が遅れましたが、作業員の増員や海上輸送から航空輸送に変更するなど、あらゆる手段で間に合わせようとしてきました(3)実績工程は常に遅れていない状況の報告となっており、遅延通知も発行されていない状況が続いていました。

システックインターナショナルの大野紳吾シニアマネジングコンサルタント


 発注者としては、是が非でも工期を順守するという受注者の姿勢と心意気は非常にうれしかったのですが、一方、現実的な工程はどうなるのか、発生した追加費用を請求してくるのかどうか–といった点の方がリスクとしてありましたので、遅れた場合の新空港開港への影響度評価や追加費用の概算などを発注者側で予備的に準備しました。結局、この契約パッケージの完了は大幅に遅れ、プロジェクトの採算が悪化し、受注者は追加費用の請求をしてきましたが、実績工程で遅延を報告せず、遅延による追加費用が発生することも通知していなかった受注者の立場は弱く、遅延損害金(リキダメ)の免除と多少の追加費用支払いで合意しました。

 一方、同じプロジェクトの別の契約パッケージを受注した東南アジア系の建設会社は全く異なるアプローチを取りました。非常に堅実な会社で、契約条項を愚直に順守し、工程管理も確実に実施、工期延長や追加費用の交渉はアグレッシブではないけれど隙がなく、最終的に彼らが請求した内容にほぼ合意して決着しました。

 この東南アジア系の建設会社の例で分かるように、契約管理も工程管理も特別なことをする必要はなく、ただ契約条項で求められている遅延通知や実績工程を地道に積み重ねていくことが重要です。

 この地道な積み重ねがないと主張に隙ができて説得力がなくなることになり、最終的に、ヨーロッパの製造メーカーのように大幅な妥協をして合意するか、第三者を入れた紛争解決でしか決着がつかない可能性が高いと思います。

 残念ながら、弊社へご相談をいただく日系クライアントのプロジェクトは、このヨーロッパの製造メーカーと非常に似た状況に陥っているケースが少なくありません。もう少し早く相談を頂ければ対応が異なるので、非常にもったいないと思います。このような状況になった場合の対応として弊社が実施するのは、その当時の記録をできる限り収集して、何らかの理由で発行されなかった遅延通知や実績工程などを再現することをします。

 例えば、ある日系建設会社が請け負ったプラント建設プロジェクトでは、契約工期が3年でしたが、発注者の設計変更などの影響で完工まで7年かかりました。日系建設会社は、工期延長と追加費用を求めましたが、発注者は請求した金額の100分の1にも満たない金額しか認めてくれませんでした。コントラクターとしてとても看過できるような金額ではなかったので仲裁に進むかどうするかという段階で、弊社にご相談がありました。弊社で実施したことは、契約クレームと遅延分析を再作成し、その概要を10分間のアニメーション動画にまとめることでした。往々にして、発注者のキーマンは建設プロジェクトをよく知らないので契約権利や遅延分析の話をしても理解をしてもらえません。そこで10分程度の動画で要点を視覚的に説明し、理解してもらってから交渉を開始しました。とは言え、動画を作成して提出してから交渉開始まで約6カ月、交渉開始から合意に至るまでほぼ1年間かかりましたので、交渉で解決しようとすると金額が大きければ大きいほど時間がかかるのは否めません。やはり、その場その場で問題を提起し解決をしていく方が経験上よいと思います。

 次回は最終回、最近のトレンドをお話ししたいと思います。

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