【記者座談会】北海道胆振東部地震から1ヵ月 観光への影響懸念より復旧・復興に向けた動き加速 | 建設通信新聞Digital

5月17日 金曜日

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【記者座談会】北海道胆振東部地震から1ヵ月 観光への影響懸念より復旧・復興に向けた動き加速

A 北海道胆振東部地震の発生から1カ月が経過したが、現地の状況はどうなっているのだろう。
B 政府は道内被災地を激甚災害、胆振地区の厚真、安平、むかわの3町を局地激甚災害に指定し、被災自治体は不安なく災害復旧に取り組めるようになった。北海道がまとめた地震による被害額は、公共土木施設や農林水産業などと合わせ、少なくとも1500億円以上といわれている。落ち着きを取り戻しつつも、1日に発表された日銀の短期経済観測調査(短観)によると、全産業の道内経営者はマイナス要因の影響を考慮して、業況が悪化すると回答している。特に観光で悪影響が出ている。
A 行政機関の対応は。
C 被災現場の視察も相次ぎ、9月13日には石井啓一国土交通相が札幌市清田区の液状化現場などを訪れ「被災地の復旧・復興を支える」と調査の加速や査定作業を支援する考えを表明した。
B 北海道は災害復旧を中心に約323億円の補正予算を追加提案し、ライフラインの復旧や産業被害の復興に向けた動きを加速させている。札幌市は1日から罹災証明書の臨時受付窓口を設置して被災者対応を急いでいる。これから災害査定も本格化し、従来の査定期間を短縮して取り組むようだが、特に胆振地区の3町には多くの技術職員を派遣して支援を迅速化させてほしい。
A 地元建設業の対応状況は。
B 北海道建設業協会の岩田圭剛会長は4日、胆振地区の3町を訪問し、見舞金を直接手渡した。岩田会長は「被害に遭われた方の支援や町の復興の一助になれば」と話していた。北海道建設業信用保証も被災3町に義援金の寄付を予定しており、支援の輪はさらに広がっていくだろう。復旧・復興に向けて建設業者は現場で大きな力になる。地域の方々のためにも頑張って底力をみせてほしい。
A これからの課題は。
C 北海道開発局は「食」と「観光」を戦略的産業に位置付けて開発を進めているが、被害を受けていない地域でも観光客が減少している。風評被害はやっかいだ。行政や民間の経済・産業団体は「北海道の元気」を国内外にアピールしてほしい。道内旅行者に81億円に上る宿泊費を補助する政府の「北海道ふっこう割」も決まった。観光需要喚起に貢献するものと期待している。北海道は安全だ。ぜひ来道してほしい。

仙建協と浜松建協、全中建傘下3協会が協定

全中建傘下の都中建・神中建・横建協は災害時の相互応援で協定を交わした


A ところで話は変わるが、災害時の広域連携で、建設業協会同士が協定を結ぶ動きが相次いでいる。
D 9月5日には仙台建設業協会と浜松建設業協会が、3日には全国中小建設業協会傘下の東京都中小建設業協会、神奈川県中小建設業協会、横浜建設業協会が、災害時の相互援助・応援で協定を交わした。
E 仙台と浜松両建協が結んだ協定は、大規模災害発生時に初期段階で取るべき行動をあらかじめ決めておくことで、発災直後の混乱の中でも素早く対応できるようにした。3建協が交わした協定は、比較的距離は近いものの、被害の小さい地域の建協が大きい地域へ出動し、被災地域の応急対策を円滑に実施する。協定を関東圏内に拡大していくことも検討している。
D まだスタートしたばかりだが、都中建ら3建協は今後、総合評価落札方式の加算点として認めてもらうように要請していくことも、視野に入れているようだ。
A 近年、自然災害が頻発し、広域化していることは誰が見ても明らかだ。こうした取り組みが広がっていくかどうか、注視していきたい。

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