東京理科大発ベンチャーのイノフィス(東京都新宿区、古川尚史社長)は、装着型バランサー「マッスルアッパー」の販売を開始した。人の手で重量物を取り扱う場面で、背面のフレームに内蔵した空気圧式人工筋肉によって腕と腰の動きを補助する。腰より高い位置への重量物の持ち上げや体から離れた場所に重量物を置くことを可能にして、作業効率の向上や身体負担の軽減を実現する。希望小売価格は198万円(税別)。
同社は2014年から、腰部の補助に特化した装着型作業支援ロボット「マッスルスーツ」を開発販売しており、18年9月までにシリーズ累計で3500台以上を出荷している。同製品には「腰だけでなく腕部分の補助も欲しい」「重量物を取り扱う際に、限られた作業スペースや予算の中で使える装置が欲しい」という要望が多く寄せられていた。そうした声に応えるため、これまでの研究開発や企業活動を通じて得た知見から、マッスルアッパーの提供を開始した。16日に開いた発表会で開発者の小林宏東京理科大教授は、「いろいろな場面で使ってもらい、使用者の声に基づいて改良改善していく」と語った。
今後の販売目標について古川社長は、「将来的には1500台程度を目指していく。これまでバランサーを導入したいが条件的に難しいと考えていた方や、導入したものの使いづらいと感じている方に使ってもらいたい」と語った。