東京都台東区は、上野駅周辺での「人中心の空間づくり」を具現化する。2026年度当初予算案に「上野地区まちづくり推進」として2億7792万円を計上した。「基盤整備」「駐車場地域ルール」「機能誘導方策」を3本柱に、まちづくりに取り組む。地域住民との合意形成の進捗(しんちょく)も踏まえながら、27年度にも上野地区の都市空間再編の方向性を打ち出したい考えだ。
基盤整備では、地下と地上、デッキなどで上野恩賜公園と上野駅、さらに駅周辺のまちをつなぐ検討を加速させる。具体的には、歩行者交通量や混雑度合い、滞在の快適性について分析・調査するほか、公共交通の実態把握も進める。
区は24年に策定した「上野地区まちづくりビジョン」で、「上野の歴史を活かした都市空間の創出」や「日本の玄関口となる交通結節点として、国際都市の顔に相応しいおもてなし空間の創出」などを掲げており、東西都市軸の強化に向けた歩行者ネットワークの構築を打ち出している。
一方、現状のパンダ橋(東西自由通路)は、にぎわいが不足しているほか、東上野4丁目側につながっていないなどの課題がある。東上野4丁目側には区役所のほか、東上野四丁目A-1地区市街地再開発準備組合が再開発計画の検討を進めており、区は同再開発エリアや区役所側への接続の可能性を含め、回遊性向上のための検討を深度化する方針だ。26年度中に都市空間の再編に向けた方向性の策定を進めていく。今後、JRや東京メトロ、京成電鉄、国、東京都、東京藝術大学や筑波大学などの学識者などで構成する「上野地区まちづくりビジョン推進会議」の中でも共有していく。
駐車場地域ルールでは、東京都駐車場条例に基づく付置義務駐車台数の緩和を進める。区の担当者は「上野地区では、駐車場の台数と実際に止まっている台数に差がある」と明かす。この背景には、公共交通機関の充実に伴う、自動車の交通量減少や自動車所有率の低下がある。「駐車場の適正な整備と配置を進めることで、人中心の都市空間を創出していく」として、自動車の流入抑制や駐車場出入り口を減らすことで人が歩きたくなるような空間の創出を目指す。3月下旬にも「台東区駐車場整備計画」を策定する予定だ。
機能誘導方策では、上野駅周辺の都市更新に合わせ、地区計画などの都市計画手法を活用して商業・業務・ホテルなどの適切な配置を誘導する。検討の一例として、低層部に商業、中層部に業務・ホテルを配置するなどの役割分担を想定している。区は27年度に「都市空間の再編に向けた方向性(構想)」を示す考えだが、機能誘導方策自体の具体的な策定時期は今後精査するとしている。
区の担当者は「初めて上野に訪れた人が迷わず乗り換えができるようにしたい」と意気込む一方で「まちに住む方々の発意がないと事業は動かせない。地域が主体となって将来像を具体化していく」と語る。単なる基盤整備ではなく、上野のまち全体で新たな価値の創出を目指し、公民学一体となって「まち」の変革を進めていく。

