【オカムラデザインスペースR企画展】最小限の要素を抽出・再構成した茶室の空間で色彩体験を演出 | 建設通信新聞Digital

5月6日 月曜日

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【オカムラデザインスペースR企画展】最小限の要素を抽出・再構成した茶室の空間で色彩体験を演出

 オカムラが毎年1人の建築家と、建築以外の領域の表現者との協働をコンセプトに開催しているオカムラデザインスペースRの企画展が、東京都千代田区のオカムラガーデンコートショールームで開かれた。ことしは、新居千秋氏(新居千秋都市建築設計)と、アーティストの大原崇嘉氏、古澤龍氏、柳川智之氏が、「身体性-Somethetic-」をテーマに新たな企画空間を提案した。
 今回、新居氏らは千利休の「待庵」と織田有楽齋の「燕庵」、小堀遠州の「八窓軒」、古田織部の「如庵」という日本を代表する茶人の4つの茶室の最小限の要素を抽出・再構成した。全22個の窓に張られた色付き糸と照明色との色彩作用を使い、光の変化に応じて糸の見え方が変わることで、空間の中にさまざまな色が漂って見える色彩体験を演出した。

茶室の模型と試作品

 これを記念したシンポジウムでは、新居氏が「ある人種やある社会が、人間の肉体に根ざして有する特殊なスケール感で、日本語で言えば間(ま)が近い概念だ」とテーマを紹介。
 その上で茶室を選んだ理由を「茶室以前の建物は、御簾(みす)や幕、衝立(ついたて)で空間を仕切ることが多く、壁で空間を区切った茶室は日本的な空間の画期をなした」とし、「いまより照度の低い空間で暮らしていた時代に合わせて、茶室にぼんやりとした光を当てた。光によって見え方が変化していく様を、3人の協力で取り入れられた」とコラボレーションの成果を強調した。
 視覚表現について古澤氏は「薄暗い環境では、モノ自体と光の色の境界があいまいに見える。それを利用して茶室の窓をいろいろに変化させた」と語った。企画展のアンカーを務めた建築史家の川向正人氏は「4つの茶室が光によって変化するのを見ていると、内と外が逆転したような錯覚とともに、とても日本的な時間を感じた」と感想を寄せた。

右から新居氏、柳川氏、古澤氏、大原氏

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