H27古河中田新田地区上流築堤工事は「施工している工事は女性技術者の登用を促すモデル工事」であり、座談会の場を提供した浜野所長は「既にトイレは男女別に用意しているので、今度は何をということから、女性の意見を取り入れ休憩所をカフェテリア風にした。落ち着かないという声もあったが、作業員も含めて良いコミュニケーションができている」ことを紹介するとともに、「こういう場(座談会)でいろいろな意見を聞いて、今後、女性が活躍できる現場の参考にしたい」と述べた。
この背景には、いち早くこの取り組みを支援し、女性ネットワークの中心的存在であった武笠裕美古河出張所長はじめ事務所内の協力者の存在が見逃せない。座談会では「女性から見た現場の印象」などについて意見交換が行われた。現場の印象について「以前はトイレも男性と一緒だったのが、いま急に良い環境になった。早く帰宅できるようにいろいろな面でサポートしてもらっているので、家に持って帰れる仕事は、持って帰ってやったりしている」「現場に入ってみるとみんな優しい」「安全対策に力を入れていて、思ったよりも、危なくも汚くもない」というように、周りのサポートに対する声が多い。
女性が入職し、継続して働けるためには「とても働きやすいと感じているが、結婚して、子どもが生まれたとき、どうなるか不安もある。残業が多く、朝も早く出ないといけない。また、土日は休みだが、出なければならないこともある。勤務体系などが変わらないと難しいのでは」「資格を取得して監理技術者を目指しているが、そうなると現場に張り付かなければならなくなる。子どもがいると、それは難しくなる」「男性の働き方から変えていかないと、という思いはある」「女性を増やしたいなら、業界全体の働き方が変わっていかないと」など働き方を考える必要性が指摘された。
今回の座談会では、ともに工事を遂行する女性の本音がうかがえ、今後の女性活躍の一助になりそうだ。
【出席者】
〈進行役〉
▽中村秀樹氏=ワンダーベル合同会社コンサルティング事業統括責任
〈国土交通省関東地方整備局利根川上流河川事務所〉
▽武笠裕美古河出張所長
▽山岸純子氏管理下維持係長
▽與儀亜希子氏(計画課)
▽内藤ゆかり氏(調査課)
〈受注者〉
▽澤田琴音氏=本田建設(埼玉県行田市)H28古河中田新田地区築堤工事担当技術者
▽関根綾香氏=小川工業(埼玉県行田市)H27明和梅原地区上流築堤工事現場代理人
▽水谷恵氏=潮田建設(栃木県小山市)H28酒巻上流築堤工事担当技術者
▽上原妙子氏=常陽建設(茨城県取手市)H27古河中田新田地区上流築堤工事担当技術者
▽山本和代氏=GRAND(群馬県板倉町)主任技術者
▽坂井夏稀氏=Atos(埼玉県加須市)オペレーター