【働きかた】配慮があれば過度の男女差は必要なし 建設現場・交流座談会で10人が議論 | 建設通信新聞Digital

4月26日 金曜日

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【働きかた】配慮があれば過度の男女差は必要なし 建設現場・交流座談会で10人が議論

女性の意見を取り入れ作られたカフェテリア風の休憩所で本音を語り合った

 「性別を気にしすぎている。とくに上司の世代の人はすごく過敏になっているのでは」とは、女性も活躍できる建設現場、女性の働きやすい職場の実現に向けて、発注者、元請け、協力会社で働く女性による「女性も活躍できる建設現場・交流座談会」での意見だ。交流座談会は2月23日、ワンダーベル合同会社の中村秀樹氏が進行し、幹事会社の常陽建設(茨城県取手市)が施工するH27古河中田新田地区上流築堤工事(浜野雅司所長)のカフェテリア現場休憩所で行われた。参加したのは国土交通省関東地方整備局利根川上流河川事務所の職員、受注者の技術者、現場代理人、協力会社の重機オペレーターら10人でそれぞれの経験、立場からディスカッションした。

 H27古河中田新田地区上流築堤工事は「施工している工事は女性技術者の登用を促すモデル工事」であり、座談会の場を提供した浜野所長は「既にトイレは男女別に用意しているので、今度は何をということから、女性の意見を取り入れ休憩所をカフェテリア風にした。落ち着かないという声もあったが、作業員も含めて良いコミュニケーションができている」ことを紹介するとともに、「こういう場(座談会)でいろいろな意見を聞いて、今後、女性が活躍できる現場の参考にしたい」と述べた。
 この背景には、いち早くこの取り組みを支援し、女性ネットワークの中心的存在であった武笠裕美古河出張所長はじめ事務所内の協力者の存在が見逃せない。座談会では「女性から見た現場の印象」などについて意見交換が行われた。現場の印象について「以前はトイレも男性と一緒だったのが、いま急に良い環境になった。早く帰宅できるようにいろいろな面でサポートしてもらっているので、家に持って帰れる仕事は、持って帰ってやったりしている」「現場に入ってみるとみんな優しい」「安全対策に力を入れていて、思ったよりも、危なくも汚くもない」というように、周りのサポートに対する声が多い。
 女性が入職し、継続して働けるためには「とても働きやすいと感じているが、結婚して、子どもが生まれたとき、どうなるか不安もある。残業が多く、朝も早く出ないといけない。また、土日は休みだが、出なければならないこともある。勤務体系などが変わらないと難しいのでは」「資格を取得して監理技術者を目指しているが、そうなると現場に張り付かなければならなくなる。子どもがいると、それは難しくなる」「男性の働き方から変えていかないと、という思いはある」「女性を増やしたいなら、業界全体の働き方が変わっていかないと」など働き方を考える必要性が指摘された。

世代間の意識差を指摘する声も上がった

 また、建設業で働いて嫌だと思った人はいないが、女性を特別扱いすることに問題点を指摘する声は多い。「過度な男女差は良くないと思うが、子どもが小さいと、先に帰らないといけなくなる。それなりの配慮は必要だ。また、残業が少なくなるのは良いが、その分男性が残業している。男も女も残業を減らせるようにしなければならない。さらに、特別な理由があれば配慮してもらえる制度があれば」「性別を気にしすぎている。男女雇用機会均等法もあったし、子どものころは男らしく、女らしくと言われることもなかった。若い人は男だから、女だからと言うことをあまり気にしていない。上司の世代だけがすごく過敏になっているのではないか。私たちが上司になったときは、男女は関係なく、気にしなくなっているのでは」など、意識しすぎていることが多いということだ。
 今回の座談会では、ともに工事を遂行する女性の本音がうかがえ、今後の女性活躍の一助になりそうだ。

【出席者】
 〈進行役〉

▽中村秀樹氏=ワンダーベル合同会社コンサルティング事業統括責任
 〈国土交通省関東地方整備局利根川上流河川事務所〉
▽武笠裕美古河出張所長
▽山岸純子氏管理下維持係長
▽與儀亜希子氏(計画課)
▽内藤ゆかり氏(調査課)
 〈受注者〉
▽澤田琴音氏=本田建設(埼玉県行田市)H28古河中田新田地区築堤工事担当技術者
▽関根綾香氏=小川工業(埼玉県行田市)H27明和梅原地区上流築堤工事現場代理人
▽水谷恵氏=潮田建設(栃木県小山市)H28酒巻上流築堤工事担当技術者
▽上原妙子氏=常陽建設(茨城県取手市)H27古河中田新田地区上流築堤工事担当技術者
▽山本和代氏=GRAND(群馬県板倉町)主任技術者
▽坂井夏稀氏=Atos(埼玉県加須市)オペレーター

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