【働きかた】夢は叶う! 女性エンジニアの先駆者、車両設計に キャタピラージャパン・石田あずささん | 建設通信新聞Digital

4月27日 土曜日

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【働きかた】夢は叶う! 女性エンジニアの先駆者、車両設計に キャタピラージャパン・石田あずささん

キャタピラージャパン油圧ショベル開発本部車両計画部 石田あずささん

 大学では農業機械を専門に学んだが、ある時秩父デモセンター(埼玉県秩父市)を訪れダンプトラックに試乗した。そのスケールの大きさに魅了され、「でっかい重機をつくる仕事がしたい」との思いが入社の決め手になった。それ以後約25年にわたり結婚と3人の子育てを経験しながら、女性エンジニアの先駆者として活躍を続けている。4月からは、明石事業所(兵庫県明石市)の生産工場に隣接する研究開発拠点・油圧ショベル開発センターで、長年の夢だった車両の設計に携わっている。
 入社直後の1992年に相模事業所(相模原市)の技術部実験課(当時)に配属された。技術系の総合職では唯一の女性社員として、開発車両のエンジンの性能テストや調整を担当した。覚えることも多かったが、「1人でできるようになりたい」の一心で必要な試験データを淡々ととり続けた。データ結果をより追求しようとする好奇心旺盛な男性社員に比べ「一歩踏み込もうとする積極性がなかった」と当時を振り返る。
 社内結婚を経て、出産、育児を経験したことがモチベーションを変えた。家庭と仕事の両立は簡単ではなく「何度も仕事をやめようと思った」が、そのたびに「エンジンが好きで仕事を続けたいという気持ちと、周囲の人に支えられ恵まれていることを再確認した」。“エンジン全開”で何でも吸収しようと仕事に励むようになった。
 現在の勤務地である油圧ショベル開発センターに異動したのは2012年。設計したショベルが世界で生産されるというまさに「憧れの地」だったが、転勤には迷いもあった。「夫が背中を押してくれたからこそ、妥協のないものづくりに最前線で携わることができる」と感謝している。
 自らを「欲張り」と笑うように、3年前に女性社員のネットワークを立ち上げた。勉強会のほかにも子ども向けにショベルの工作を教えたりと「見えないところにも女性エンジニアの活躍があることを伝えたい」と前向き。15年には課長に昇進した。管理職への昇進をためらう若手女性も多いが「とにかく続けて欲張ってほしい」とエールを送る。

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