--検討会設立の経緯を
「(長大の)社内を調査してみると、結婚や出産で(女性)技術者が辞めるケースが多く、せっかく覚えた技術がそこで終わってしまう。特に東京では、保育所の問題があり、子どもをあずける所がないので、子育てに専念することになってしまう。われわれの業界はそれほど規模が大きくないので、事業所内保育所を1社で運営するのは、人数的にも費用的にも負担が大きい。そこで、事業所の近い企業同士が集まれば、保育所に入りたい人のピークも分散するだろうし、費用もそれぞれの負担で済んでくるので、事業所が近い4社に声をかけさせてもらった。まずは、実際に費用や場所を検討しなければならなく、実現する方向で検討会をつくった」
「働きやすい会社かどうかというのは、今後のリクルートにも影響してくる。建設業に入社を希望する学生の企業を選ぶポイントと、建設業者側のアピールポイントがずれているという報道を見たが、会社側は『当社の技術はこれだけ優れている』ということをどうしてもアピールしたいものの、学生側からすると、『どれくらい働きやすい会社なのか』ということを最初に見る。こういった取り組みを行うことが、優秀な人材を集めるベースにもなる。こうしたことまでできる会社ということで、安定した企業イメージも出てくるだろう」
--報告書で特にポイントになる部分は
「1つは、通勤時間帯に子どもを連れてくるのは、相当厳しいと思うので、時差出勤や短時間労働など、ほかの施策と組み合わせることが必要だ。実際の運用に当たっては、われわれは素人であるので、どこかに委託しなければならない。コンサルテーションに加えて、運用の代行をしてくれるところが見つかるかどうかが2つ目のポイントだ。3つ目は、各社に近く、料金がそれほど高くない所ということで、両国駅周辺に仮定したが、そういった所が本当にあるのかがこれからの課題だ」
「5月中に各社の意向を確認しなければならない。少なくとも3社程度集まれば、実現に向けて、実際に運営やコンサルテーションをしてくれる会社を確定していく。そこを決めた上で、具体的な作業に入っていくため、場所、物件を探し、改修工事・内装施工の段階に入るとともに、補助金の申請を優先的に行っていく。並行して各社の協定書をつくり、そこで確定させていく。何社かは、抜ける可能性もあるし、新たに加わる可能性もある。建設コンサルタンツ協会の常任理事会で取り組みを説明したが、『当社も加えてほしい』という会社が1社あった」
「(長大の)社内的には、短時間労働制度や地域限定社員制度、在宅勤務制度、時差通勤制度の10月1日からの実施に向けて、詳細な規定に落とし込んでいる。来年4月のオープン時には、そういう制度を組み合わせて使うことができる」
--各社の東京事業所に勤務する職員を対象としたアンケート結果によると、「事業所内に保育所が仮に設置された場合、利用するか」との設問に対し、約半数が「検討したい・まだ答えられない」と回答しているが
「答えられない理由の多くは、詳しいことが分からないからで、詳しい状況が分かれば、再度検討するのではないか。費用の問題もそうだ。事業所内保育所は、認可外保育所に相当するが、保育料金は平均すると8万円から9万円かかる。われわれが5万円と仮定したのは、認可保育所の最大の保育料金に少し加えたレベルを想定したが、あとは企業の中でどのように判断していくかだ」
--運営会社全社による運営と、代表運営会社主体の運営の2パターンを計画しているが
「(時間的な制約から)基本的には、代表運営会社主体の運営になる。代表運営会社は長大になるだろう」