【2時間耐火外壁実現】国内初認定を受け、CLTの建物全体への適用期待 | 建設通信新聞Digital

4月26日 金曜日

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【2時間耐火外壁実現】国内初認定を受け、CLTの建物全体への適用期待

 日本CLT協会(中島浩一郎代表理事)は、東京農工大学、森林研究・整備機構森林総合研究所と共同開発した2時間耐火性能を持つCLT(直交集成板)外壁と間仕切り壁が、2時間耐火構造の国土交通大臣認定を取得したと発表した。CLT外壁の認定は国内で初めてとなり、CLTを建物全体に使用した中高層建築の実現が期待される。

試験後も炎や煙は見られず 被覆材の脱落もなかった

 CLTの普及に向けて必要な耐火性能を持つさまざまな部材が開発される中、CLT構造の外壁で2時間耐火性能を持つ認定品はこれまでなかった。
 今回、指定性能評価機関による耐火試験では、外壁は耐水強化石こうボード2枚(下張21mm、上張15mm)で被覆した上に厚さ35mmの軽量気泡コンクリートパネル(ALC)を張った。間仕切り壁は強化石こうボード3枚(下張・中張各21mm、上張15mm)で被覆。2時間経過時の炉内温度が約1050度に達する中、試験後には炎や煙が見られず、被覆材の脱落もなかった。内部のCLT表面に炭化はなく、十分な強度を保持した健全な状態が確認された。接合方法や中空層・各種シート類の有無などに幅を持たせることで、汎用性が高い仕様となっている。
 今回の認定取得によって防火上は階数制限なくCLT構造の外壁の使用が可能になり、同協会に参画する企業が持つCLT床などの耐火構造と組み合わせることで、建物全体にCLTを用いた中高層建築が実現できる。同協会が実施する講習会を受講して資格要件などを満たせば誰でも使用できる。
 今後は、壁の種類を増やすとともに、コストを抑えた使用などの認定取得も予定。屋根や階段も耐火部材の開発を進めるほか、配管の貫通部などの火災安全性を保つ方法、耐火集成材との組み合わせなども検討していく。
 共同研究機関であるCLT活用施工技術コンソーシアムには3者のほか、建築研究所、竹中工務店、清水建設、三井住友建設、平子商店、東大、立命館大学が参画している。

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