【歴史的建造物】第2次擬洋風建築!? 最上地方の消防小屋に見る防災文化を調査・共有 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【歴史的建造物】第2次擬洋風建築!? 最上地方の消防小屋に見る防災文化を調査・共有

 地域に根ざした暮らしの中で育まれ、独自の発展を遂げてきた山形県最上地方の消防小屋。細部に洋風の装飾が取り入れられた、昭和初期のユニークなデザインのものが数多く現存している。その歴史的背景などを工学院大建築学部の学生らが調査、得られた知見を地元の人々と共有し、そこに込められた思いや防災文化を後世に継承していこうという、写真展とギャラリートークが東京都台東区の旧平櫛田中邸アトリエで開かれた=写真。
 写真展「モガミの町火消し達」では、新庄市在住の民俗写真家、松田高明氏が約3年かけて撮影した、最上地方の消防団とその道具類を格納する消防小屋の写真20点のほか、実際の装備の一部なども展示。2月14日から19日まで開催された。
 これを支援したのが工学院大の後藤研究室で歴史的建造物の保存修復や伝統技術、街並みの調査研究に取り組む学生たちだ。地元の人々と連携し、長期にわたる調査で得た最上地方の建造物などの知見を提供した。
 会期中に開かれたギャラリートークでは、撮影した松田氏と学生を指導した後藤治教授、二村悟客員研究員が、時代とともに変遷する消防活動や建築の生産体制、また気候風土や文化的な側面など幅広い視点から、その特徴や建築的な意義を論じた。
 この中で二村氏は反りのある腰折れ屋根や二重のアール、連続するアーチ、今和次郎風にも見えるブロークンペディメントなどのデザインやモチーフを挙げながら「消防小屋は第2次擬洋風建築ではないか」と指摘。
 「時代に合わせて近代化しながら変わっていくところ、いまも使い続けているところに面白さがある」とも話した。
 後藤氏は「震災でも体を張って防災に頑張っているのが消防団であり、大工さんや工務店の人たちの加入率も高い。こういう人たちが元気じゃないと地域も元気にならない。そこに価値を見いだしスポットを当てることで地域が活気づいてくれればうれしい」とエールを送った。
 写真展は地元新庄市でも5月に開催される予定だ。

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