【歴史的建造物】京都の「旧御所水道ポンプ室」保存・活用へ議論開始 琵琶湖疏水周辺の観光事業にも | 建設通信新聞Digital

4月25日 木曜日

公式ブログ

【歴史的建造物】京都の「旧御所水道ポンプ室」保存・活用へ議論開始 琵琶湖疏水周辺の観光事業にも

 京都市上下水道局は、「旧御所水道ポンプ室の保存・活用に係る懇談会」を設置、初会合を開いた。琵琶湖疏水通船事業の目玉として、乗下船場に位置する明治の産業遺産「旧御所水道ポンプ室」=写真=の保存活用方法を検討していく。2017年度末まで開催される懇談会での検討内容を踏まえ、基本構想をまとめる方針だ。
 懇談会(委員長・宗田好史京都府立大副学長)では、事務局が施設概要や耐震診断結果、立地状況、通船事業について説明し、委員らが専門的見地から意見を述べた。
 旧御所水道ポンプ室(山科区日ノ岡夷谷町)は1912年に竣工。京都御所に防火用水を送るための施設として、片山東熊と山本直三郎によって設計された。ネオ・ルネサンス様式の建築物で、規模はれんが造地下2階地上1階建て延べ163㎡。92年に取水停止した。
 16年度に建築研究協会が実施した耐震診断によると、地震により倒壊する危険性が高く耐震補強の検討が必要なほか、耐力壁の面外体力も不足している。
 委員らは「建築物の傷みが少なく、当初の姿がよく残っている」と歴史的建造物としての価値を評価し、「活用方法を検討する前に、疏水建設の背景や歴史を踏まえた歴史的価値付けが必要」と同意した。「レストランやカフェにする議論を軽々しくすべきではないが、通船事業の採算性をバックアップできるなら商業的に活用するのもよい」「通船客しか来られない立地で、周辺部の観光スポットを念頭に入れた活用を検討すべき」という意見もあった。
 通船事業(大津~蹴上間)は18年春からの本格運行を目指し、試行や新造船の建設、沿線緑地の再整備を進めている。ポンプ室は蹴上乗下船場に位置する。
 基本構想策定に関する調査等業務は三菱UFJリサーチ&コンサルティングが担当している。

建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら