【墜落時の衝撃荷重を分散】スリーエム ジャパンがフルハーネス型安全帯の拡充へ  | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【墜落時の衝撃荷重を分散】スリーエム ジャパンがフルハーネス型安全帯の拡充へ 

 スリーエム ジャパンは、高所作業での墜落防止に向けた総合的なソリューションを加速させる。2017年にフルハーネス型安全帯の日本市場に本格参入したが、今後は製品の拡充やユーザー向け教育の充実を図り、さらなる市場浸透に力を注ぐ。スリーエムとして世界中で製品を提供してきた実績を基に、19年はフルハーネス型安全帯とランヤード製品の売上高を18年と比べ3-5倍まで高めていく考えだ。 同社は17年にフルハーネス型安全帯「3M DBI-サラ エグゾフィット ライト」と、ランヤード製品の「3M DBI-サラ イージーストップ ショックアブソーバー付ランヤード」を発売し、国内の墜落防止用製品市場に参入した。
 現在、フルハーネス型安全帯のラインアップは、これに加えて最上級モデルの「3M DBI-サラ エグゾフィット ネックス」と最軽量モデルの「3Mプロテクタ」をそろえる。

フルハーネス型安全帯のラインアップ

 いずれのフルハーネス型安全帯も、安全性と作業性を両立する機能を搭載していることが大きな特徴だ。落下時に衝撃荷重を臀部全体に効果的に分散させ局所的な荷重集中を軽減する骨盤サポート構造や、前傾姿勢でもベルトが突っ張らない構造で動きやすく落下時の姿勢も安定しやすい背面X型ベルト、強度の高い金属製バックルなどを備える。
 作業の多様な動きに追従してスライドするループ型腰部ベルトのほか、一部モデルではオプションとなるが落下時の救助待機中に両足を乗せることで股部のうっ血を防ぐうっ血対策ストラップも搭載する。

うっ血対策ストラップを備える

 いずれのフルハーネス型安全帯も厚生労働省の改正構造規格案やJIST8165改正案といった新規格案に対応する性能を持つ。中辻(点が1つのしんにょう)陽平安全衛生製品事業部事業部長はフルハーネス型安全帯について「命を守る最後の砦」と強調し、製品選びの際は「実際に落ちた時のことを真剣に考えてほしい」と訴える。
 スリーエムはこれまで40年以上にわたり世界75カ国以上でフルハーネス型安全帯を提供してきた。現在も年間約100万個のフルハーネス型安全帯を出荷する。そうした豊富な実績と蓄積した開発ノウハウを基に国内向け製品は日本人の体型に最適化されて無理なく装着できる。
 国内の製品の売り上げについて中辻(点が1つのしんにょう)事業部長は「ことしの後半から大きな伸びを示している」と指摘。7-9月のフルハーネス型安全帯とランヤード製品の売上高は前年同期と比べ約5倍まで増加した。
 市場への着実な浸透の背景には同社が取り組んでいる教育活動がある。日本市場への参入に合わせてデモンストレーション用トラックを積極的に活用し、現場や企業などで製品のデモに取り組んだ。ランヤードショックアブソーバーの有無による衝撃の違いなどを紹介する墜落制止実験や、同社製品の正しい使い方を解説する吊り下げ体験などを実施。さらにVR(仮想現実)を活用した没入感のある高所作業体験にも取り組み、安全に関する知識や意識の向上を図るとともにフルハーネス型安全帯の正しい装着技術を伝えてきた。引き続きユーザーへの教育活動に注力する方針だ。
 総合的な墜落防止ソリューションの展開に向けて、フルハーネス型安全帯だけではなく、作業環境の安全性を高める製品の提供にも軸足を置く。7月には「3M DBI-サラ 工具落下防止用製品」として全9アイテムを発売した。小さな部品を収納できる開封弁構造のポーチのほか、磁石やワイヤーで工具の落下を防ぐホルスターなど、部品や工具落下に起因する事故を防ぐ製品を提供しており、今後もさまざまな製品の拡充を進めていく。

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