【安藤忠雄氏×兵庫県立美術館】Ando Gallery5月オープンに先立ちギャラリートーク 日本人のあり方語る | 建設通信新聞Digital

4月27日 土曜日

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【安藤忠雄氏×兵庫県立美術館】Ando Gallery5月オープンに先立ちギャラリートーク 日本人のあり方語る

 兵庫県立美術館(神戸市)は5日、第2展示棟(Ando Gallery)の5月オープンに先立ち、建築家・安藤忠雄氏のギャラリートークを開いた。会場となった同展示棟には多くの人が参加し、安藤氏は自身の経験などに基づく今後の日本人のあり方などを熱く語った。
 安藤氏は冒頭、2月に死去した友人の堺屋太一氏について触れ、「彼が企画し、わたしも携わった1970年の大阪万博は周囲の反対などさまざまな壁が立ちはだかり、その壁を越えてもまた別の壁があるような状況だったが、だからこそ大成功を収めることができたと思う。さらに92年のセビリア万博(スペイン)では、総合プロデューサーを務めた彼から『世界の人が見たことのないものをつくってほしい』と言われて設計者に指名され、前例のない高さ30mの巨大な木造建築物となる日本館をつくりあげた。外国でこれを実現させるのは大変だったが、自分たちが苦労したものしか相手は感動しないものだ」と振り返り、「皆さんもできるだけ多くの友だちをつくってもらいたい。わたしは建築の専門教育を受けていないが、それでも前を向いて生きていけばどんどん新たな出会いがあり、仕事が広がっていった」と語りかけた。
 また、「いまは臨機応変にその場の状況に対応できる人が生き残れる社会であり、物事を判断する際には知的レベルが必要となる」と指摘した上で、「日本人はスマートフォンを見ている時間をもっと減らし、知的レベルの向上に努めなければならない。1つの事象を通じていろいろなことを考えたり感じたりできるようになってほしい」と求め、「自分が所属する家族、会社、関係している地域にしかできないことに取り組んでほしい」と呼び掛けた。

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