【記者座談会】ゼネコンの新卒採用/東京都の入契改革本格実施 | 建設通信新聞Digital

4月20日 土曜日

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【記者座談会】ゼネコンの新卒採用/東京都の入契改革本格実施

A 2月25日付の本紙記事でも紹介したとおり、ゼネコンが新卒採用の動きを活発化させている。大手・準大手ゼネコン31社を対象としたアンケートによると、2019年4月新卒採用は、6割を超える企業が前年の採用数を上回っている。
B 大手クラスでは清水建設の300人超をトップに、残る4社も240-280人規模の採用者を確保した。準大手クラスでもフジタが200人を超えたほか、9社が100人以上の採用者を受け入れる予定だ。好調な受注状況を反映したものとみられるが、先行きの工事量は、ほぼすべての企業が手持ち工事量のピークを18-20年と設定しており、人材の確保が必要な状況が続く見通しだ。
A 景気の回復を背景として売り手市場が続く中、優秀な人材の確保には、賃金の引き上げによる処遇改善が必須だが、各社の動向はどうだろう。
C 鹿島、西松建設、鴻池組の3社が初任給を1万円引き上げ、淺沼組も5000円引き上げるほか、13社が賃金引き上げを検討している。
A 人材の確保とも呼応する働き方改革の動きはどうかな。
B 現場事務所の休暇・閉所の取り組みは、19社が「4週6閉所」を19年度の目標に設定している。「4週8休・4週8閉所」の最終的な達成目標時期は、ほぼすべての企業が21年度に設定している。
A 近年、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)などICTの活用が広がっているが、建築・土木以外の専門人材の採用状況は。
B アンケートに回答した7割超の企業が、採用に力を入れていると回答した。最も多いのは「情報通信分野」だ。しかし、建設業がITなどの人材を募集していることに対する認知度の低さなど、各社とも難しさを感じているようだ。
C 土木・建築以外にもさまざまな分野で専門人材の確保と育成が求められている。今後、各社にとって重要な課題になることは間違いない。

2月に建設業界団体が都内で開いた合同企業説明会には多くの学生が参加した

予定価格、業界団体間で意見二分

A 話は変わるけど、2月に東京都財務局と東京建設業協会、東京都中小建設業協会、東京都電設協会、東京電業協会、東京空調衛生工業会の5団体が個別に意見交換会した。
D 入札契約制度改革の本格実施では、低価格帯のみ事前公表としている予定価格について、東建と都中建は「多くの中小企業が入札参加している」として、事前公表を予定価格9億円未満の工事案件まで引き上げるよう求めた。一方、設備系の団体は、東空衛が「不良不適格業者の排除の徹底と、工事品質を確保するため」として全案件の事後公表を要望し、団体間で意見が二分した。東電協と都電設協は要望書で予定価格について触れなかった。
A JV結成義務の撤廃による混合入札は。
D 総合評価落札方式の適用拡大や、JV結成によるさらなる加点にとどめる団体が多い中、都中建はJV結成義務の復活を訴え、強く反発した。
E 都は意見交換会で「現段階で見直しの予定はなく、定点観測を続け、検証する」としており、しばらくは現制度を継続する見込みだ。本格実施から8カ月で、「問題点の摘出は時期尚早」(都電設協)といった意見もあった。
D 小池百合子知事主導の下で始まった入札契約制度改革は17年6月の試行、18年6月からの本格実施と、その都度、業界全体が振り回される結果となった。昨年の都議会では「元に戻っただけ」「試行の1年は何だったのか」との声も挙がった。
E 20年東京五輪開幕まで500日余りとなった。制度改革により、これ以上の事業停滞は許されない。

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