【第31回千葉県建築学生賞】最優秀賞作が提案するゼロメートル地帯での新しい防災の形とは? | 建設通信新聞Digital

4月20日 土曜日

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【第31回千葉県建築学生賞】最優秀賞作が提案するゼロメートル地帯での新しい防災の形とは?

 千葉県内の建築関係4団体は9、10の両日、千葉市のイオンモール幕張新都心にあるイオンホールで第31回千葉県建築学生賞(千葉県建築卒業設計コンクール2019)の作品を展示した。9日の公開審査で審査委員らは、最優秀賞に日本大理工学部海洋建築工学科の勝部秋高さんによる「水都の樹冠-ゼロメートル地帯の道しるべとなる防災・避難公園-」を選定した。

勝部さんと作品模型

 最優秀作品の舞台は東京都江東区大島。海水面より低い低地にあり、水害時には避難の問題がある。スーパー堤防の計画はあるものの完成には時間がかかるため、増改築が可能な生物的に成長する防災インフラとしての建築が必要と提案。避難所となるポケットパークを設けたスラブを積層させてコアツリーを形成するとともに、ツリー同士を地下水脈や空中回廊でつないでネットワーク化する内容となっている。
 勝部さんは「東京の低地をいかに災害から守るかを土木的ではなく建築的な解法を見いだせるかということで、長い時間をかけてつくった作品が評価され、審査員の方々が可能性を見つけてくれたことに感謝する」と語った。
 優秀賞には東京理科大理工学部建築学科の高梨淳さんによる「海祭礼讃-漁業と祭りを中心とするまちの建築-」、千葉大工学部建築学科の西條杏美さんによる「小さな沈黙、繙く支度」を選出した。これら3作品は6月に開かれる日本建築家協会(JIA)全国学生卒業設計コンクールの千葉県代表となる。
 このほか特別賞には日大理工学部海洋建築工学科の根本一希さんによる「痕跡の行方-生を具現化した風景がつくる死と人の新しい距離感-」、千葉工業大工学部建築都市環境学科の町田忠浩さんによる「カタチのアラワレ-動きのカタチの存在とそれに基づく設計-」を選定した。
 勝部さんの作品は来場者投票の市民賞、西條さんの作品は学生賞OB・OGが選出するなの花賞にも輝いた。
 同賞はJIA千葉地域会、県建築士事務所協会、県建築士会、日本建築学会関東支部千葉支所で構成する県建築学生賞協議会(中野正也会長)の主催で約70者が協賛。県内7大学・短期大学校から21作品、3工業高校から6作品を展示した。

公開審査の様子

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