【記者座談会】47都道府県20政令市予算案出そろう/プリツカー賞に磯崎新氏 | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

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【記者座談会】47都道府県20政令市予算案出そろう/プリツカー賞に磯崎新氏

A 47都道府県と20政令市の2019年度予算案が出そろったが、どんな傾向かな。
B 一般会計は、都道府県全体で前年度比0.5%減。一方で政令市は2.4%増となった。
A 普通建設事業費はどうだろう。
B 都道府県で5.8%、政令市で1.6%とともに増加した。
A 増加の要因はどこに。
C 政府による「防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策」に向け、積極的な予算計上が目立ったためだ。3カ年の集中対策を受け、新潟県、富山県、長野県、群馬県などでは普通建設事業費が10%以上増加している。また、災害復旧に向け京都府、岡山県、広島県などの府県で災害復旧事業費が大幅に増額している。
A 頻発する自然災害からの復旧や防災対策が全国で活発化しているようだね。そのほかの特徴的な事業にはどんなものがあるだろうか。
B 大阪府は、25年大阪・関西万博関連の会場建設費負担金やIR(統合型リゾート)誘致関連の費用などを計上している。愛知県は「ジブリパーク」の整備に向け、施設の実施設計などを進める。
C 五輪施設の竣工が重なる東京都や山形駅西口拠点工事が本格化する山形県のほか、今後の動きとして国体施設「SAGAサンライズパーク」のアリーナ建設工事に着手する佐賀県や国際リニアコライダー(ILC)の国内誘致を目指す岩手県でも、推進費用を計上した。
A 新庁舎整備についても各自治体で検討が進んでいる。
C 仙台市、京都市、神戸市、岡山市、熊本市などで庁舎関連費の計上があり、一般会計が増加した。岡山市は本庁舎建て替え基本計画の策定を目指し、熊本市は本庁舎のあり方検討へ新規計上するなど、計画の川上段階の自治体も複数あり、今後の動向が注目されるね。

磯崎氏の代表作の1つで日本のポストモダンの 象徴的な作品「つくばセンタービル」  (撮影・Yasuhiro Ishimoto)

デザインを理解する土壌が必要

A ところで、“建築界のノーベル賞”と呼ばれているプリツカー賞に磯崎新氏が選ばれた。日本人の受賞は14年の坂茂氏以来、8人目だ。どのあたりが評価されたのかな。
D ポストモダン建築の旗手として、常に進化し、時代をリードする象徴的な作品を国内外でつくり続けてきた。建築以外の分野を巻き込んだ批評活動や、設計コンペの審査員として国内外の若手を引き上げる取り組みも評価された。建築設計界からは「当然だ」「遅すぎたくらい」との声も聞こえている。
A 若手建築家の石上純也氏が『ボタニカルガーデンアートビオトープ「水庭」』で文化庁の芸術選奨新人賞に選出された。
E 受賞者の中には歌手の宇多田ヒカルさんらも名を連ねている。
D 宿泊施設の建設にあたり、伐採が必要な森の樹木を隣の庭の敷地に移すとともに、池などを組み合わせてランドスケープを建築的に再構成した意欲的なプロジェクトだ。
A 18年度の建築関連賞を締めくくるJIA日本建築大賞には小堀哲夫氏の「NICCA INOVATION CENTERE」が輝いた。
E 審査では建築としての完成度の高さに加えて、施主を巻き込んだハード・ソフトの工夫が評価された。若手建築家の代表として、ますますの活躍を期待するコメントが並んだ。
D プリツカー賞受賞者は日本人が最も多いものの、社会的な評価や影響を見ると必ずしも国内外で一致しない。建築に限らずデザイン全般を理解する土壌=教育が必要だろう。

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