【土木学会東北・2018年度総合技術賞】能代火力発電所第3号機新設工事と大槌川橋復旧が受賞 | 建設通信新聞Digital

4月25日 木曜日

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【土木学会東北・2018年度総合技術賞】能代火力発電所第3号機新設工事と大槌川橋復旧が受賞

 土木学会東北支部の2018年度総合技術賞に東北電力の「能代火力発電所第3号機新設工事」、JR東日本東北工事事務所の「津波による全23連が落橋した鉄道橋の復旧(山田線大槌川橋りょう)」の2件が選ばれた。また、技術開発賞4件と研究奨励賞7件もそれぞれ決まった。表彰式は17日に仙台市内のホテルメトロポリタン仙台で開く同支部総会後に行われる。

能代火力発電所第3号機新設工事

 能代火力発電所第3号機新設では、構内に既存施設が存在するため、建設に伴う地盤変位や振動による発電所の安定運転に支障を与えないよう、逐次解析による将来変位予測や低振動工法の採用、振動管理対策などを実施した。ボイラーといった重量物の基礎設計では地盤条件を考慮した許容変位量の緩和や上杭・下杭の合理的な組み合わせによるコスト低減と工程短縮を実現。放水路開渠部の施工では、打ち継ぎ個所の工夫で温度ひび割れの発生を抑制し、良質な躯体を構築した。
 山田線大槌川橋りょうは、山田線宮古~釜石間で最長となる長さ375mの橋梁。東日本大震災では、津波により鋼桁23連すべてが落橋、橋台・橋脚は24基中10基が倒壊、2基が傾斜する被害を受けた。復旧に当たっては、橋脚の損傷状況に応じて柱中間部からの打ち継ぎや仮締め切りで使用した鋼矢板と既設フーチングを結合するシートパイル基礎工などの既設構造物を活用する工法を採用。これにより鮭や鮎の遡上(そじょう)に伴う河川内作業期間の制約があった中、工期内に完了させた。

津波による全23連が落橋した鉄道橋の復旧(山田線大槌川橋りょう)


 技術開発賞と研究奨励賞の受賞者(所属)は次のとおり(敬称略)。
 〈技術開発賞〉
 ▽連続多主桁橋のリダンダンシー評価に及ぼす床版・主桁間のモデル化の影響=竹田翼(東北大大学院工学研究科)、齊木功(同)、山本剛大(同)、岩坪要(熊本高専建築社会デザイン工学科)▽PMPと極大降雨の関係性による東北地方の災害分析=鈴木皓達(福島大共生システム理工学類)、齋藤洋介(同大大学院共生システム理工学研究科)、川越清樹(同大共生システム理工学類)▽ペーパースラッジ灰の地盤改良材への利用に関する研究=阿部友里恵(宮城大食産業学部環境システム学科)、北辻政文(同)、吉野修(西松建設)、岩谷隆文(同)▽花壇型人工湿地の4年間の水質浄化性能の評価=佐々木美穂(日大工学部土木工学科)、中野和典(同)。
 〈研究奨励賞〉
 ▽数値解析結果の空間モード分解による遡上津波のリスク評価=外里健太(東北大工学部建築・社会環境工学科)▽格子ボルツマン法による実地形津波シミュレーションとその検証=佐藤兼太(東北大大学院工学研究科)▽定ひずみ非排水繰返しせん断試験による飽和砂の剛性低下挙動の評価=松能直登(日大工学部土木工学科)▽最適交通計画モデルを用いた津波避難ルールの策定方法=竹居広樹(東北大大学院工学研究科)▽異なる性能のクリンカー骨材の使用がモルタルの圧縮強度に及ぼす影響=石川原光太郎(同大工学部建築・社会環境工学科)▽サーモグラフィによるCFRP補強の損傷検知精度の検証=櫻田尚大(同)▽桧原湖とその流域における放射性セシウムの平面分布と動態=高木大介(日大工学部土木工学科)。

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