【日建設計】第4回NIKKEN FORUM開催 自動運転とカーシェアリングがもたらす未来とは? | 建設通信新聞Digital

4月20日 土曜日

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【日建設計】第4回NIKKEN FORUM開催 自動運転とカーシェアリングがもたらす未来とは?

 日建設計が主催する第4回NIKKEN FORUMが、東京都千代田区の同社竹橋オフィス(パレスサイド・ビルディング)で開かれた。「自動運転がもたらす街と社会のイノベーション」をテーマに自動運転車社会と都市に詳しい森川高行名古屋大学教授が講演した。森川氏は2020年から第4次交通革命(Mobility4.0)が始まるとした上で、16年のパリモーターショーで独ダイムラーのディーター・ツェッチェCEOが提唱した「CASE」がカーシェアリングを促進し、街と道路の姿を変えると述べた。ファシリテーターを安藤章日建設計総合研究所上席研究員が務めた。
 現在、日欧米中は自動運転車開発の熾烈な競争を進めており、日本政府も2020年代の自動運転車社会の到来を目指している。森川氏はそのような状況の中で、モビリティー(移動)と深く関わって成長を遂げてきた建築と都市とはどのように変わっていくのかを説明した。
 Mobility4.0については、ICTによって車同士がつながる「Connected Car」であり、車の運転(認知・判断・操作)の多くの部分が知能化・自動化(Autonomous Driving)され、運転を望まない人から運転を解放し、運転できない人にも自動車のサービスを提供するなどとしている。
 これからのキーワードになると指摘した「CASE」は、このConnected(つながる化)、Autonomous(自動化)に加えて、Servicized(サービス化)、Electric(電動化)の頭文字を取ったもの。
 このCASEによって、究極のモビリティーとして、自動運転車シェアリングが生まれる。GoogleなどIT企業が目指す姿だ。
 完全自動運転化による効果について、森川氏はあるコンサルティング会社の米国での調査を示して、安全性の向上として76%の交通事故削減が可能であるほか、渋滞解消、都市スペースとして24%を占める駐車場が削減できることなどを示した。さらにシェアリングで都市の自動車を90%削減でき、ロボタクシーの稼働率が75%になるとも述べた。
 自動運転のまちづくりへのインパクトは(1)既存の鉄道やバス路線にかかわらずどこにでも住めるようになる(2)駐車場が大きく減少する(3)道路上の自動車が激増の恐れ=道路利用料金制度などへの転換の必要性(4)乗降場施設の設置などが考えられる。駐車場は、自動バレーパーキングで隔地に設置する方向になる。
 まとめとして、まずは地域限定のレベル4の自動運転化が現実的で、車は所有からMaaS(Mobility as a Service)へと変化していくこと、究極的に車はいつでもどこでも呼び出すことができて自動で好きなところに連れて行ってくれる姿になることを指摘した。
 加えてCASEは移動と移動手段の概念を変えるとして、車での移動中は運転以外のことが快適にできる時代になるとも述べた。

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