【戸田建設】新発想「剛性付加式防音扉」で 山岳トンネル工事における発破音の低周波騒音を低減 | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【戸田建設】新発想「剛性付加式防音扉」で 山岳トンネル工事における発破音の低周波騒音を低減

 戸田建設は、山岳トンネル工事における低周波の幅広い周波数帯の騒音を低減する「剛性付加式防音扉」を開発し、実現場に適用した。今後も効果的な適用方法の検討を進めるとともに、積極的な展開を図る。
 山岳トンネル工事では、発破時に大音量の騒音が発生するため、坑口に防音扉を設置する。ただ、防音扉は高周波の騒音低減に効果があるものの、近隣住戸の窓ガラスや扉のがたつきなどを引き起こす低周波の騒音に大きな効果は得られない。音の共鳴現象を利用する方法も開発されているものの、特定の周波数に効果が限られており、幅広い低周波数帯域の騒音の低減は難しかった。一般的に防音扉は、重くするほど遮音性能が向上するため、防音扉を2重にしたり、コンクリートの吹き付けや充てんなどで重量化した防音扉を設置する方法があるものの、発破音に含まれる20ヘルツ以下の低周波数の騒音にはほとんど効果がない。
 今回、鳥取大学の西村正治特任教授(Nラボ代表)の技術指導のもと実験したところ、扉の重さだけでなく、剛性が低周波数帯域の遮音性能に影響を及ぼすことを確認できた。これを踏まえ、袋状材を膨らませて防音扉の面材に強く押し当てたり、扉の可動部を緊結するなど複数の方法を適用することで、幅広い低周波数帯域の遮音性能向上を実現した。
 実適用した現場では、125ヘルツ以下のすべての周波数帯域で遮音性能の改善効果がみられ、例えば3-4ヘルツ付近では5-9dB程度の遮音性能改善効果があった。
 扉自体を補強するため、トンネル内外部のスペースを有効に使えるほか、扉を重くする必要がないため、コンクリートの吹き付けや充てんといった手間やコストがかからない。

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