【調整会議効率化】大手ゼネコンの導入が加速 施工管理サービス『Buildee(ビルディー)』とは? | 建設通信新聞Digital

4月26日 金曜日

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【調整会議効率化】大手ゼネコンの導入が加速 施工管理サービス『Buildee(ビルディー)』とは?

 イーリバースドットコムが提供する建設現場施工管理サービス『Buildee』(ビルディー)が、建設現場で存在感を増している。施工管理の中核となる調整会議を電子化するシステムとして、元請けと職長がスマートフォンやタブレットを利用して毎日の作業日程を緊密に共有し、施工管理と安全管理の大幅な効率化を実現。既に10万ユーザーを突破するなどスーパーゼネコンから中小ゼネコンまで普及が加速している。建設現場の働き方改革に向け、企業の垣根を越えた業務標準化が注目される中、建設業界全体の生産性を底上げすることも期待される。鹿島、大成建設の導入事例を紹介し、施工管理システムの最前線の利用法に迫る。

鹿島  一歩進んだ業務形態を実現 / 基幹システムとして全現場に展開

 鹿島は、全建築現場に導入している『Buildee』を使い、技能者の職種別労務稼働状況やひっ迫度合いを支店や本社の管理部門でリアルタイムに把握できる仕組みを構築するなど、現場の“基幹システム”として全面展開している。導入・展開を主導する建築管理本部建築工務部に導入効果と今後の展開を聞いた。

--Buildeeを導入して、現場のどのような点に効果がありましたか

 従来のホワイトボードでの調整では、作業予定の記入や修正変更の効率が悪かったのですが、Buildeeを利用することで調整会議の準備がスムーズになりました。
 また、電子データ化されているため、朝礼用モニターと連動させるなど従来の業務形態から一歩進んだ現場管理を実現しています。その効果は、他社ゼネコンへの普及を見ても明らかです。
 本社支店の連携でも効果があり、管下の現場の主要工事や人員数の把握が容易になり、現場の稼働状況把握の一助となっています。また、予定作業人員と実績作業人員を週単位で集計し、全国各地の技能者のひっ迫状況を職種ごとに早期把握しています。

--全現場で利用するにあたり課題と解決方法を教えてください

 実際には全現場へ展開するのにそれほど労力はかかっていません。というのも当社は作業間連絡調整会議を効率化するためのツール『e-現場調整Pro』を独自に開発し、現場で活用していたため、現場社員はその有効性をすでに理解しており、Buildeeを導入するハードルはそれほど高くありませんでした。
 社員サポートとして当社は社内にITサポートセンターがあり、Buildeeに限らずITツール全般の要望や使用方法について問い合わせることができます。Buildeeの要望や不具合に関してはITサポートセンターでリスト化し、建築管理本部でとりまとめ、イーリバースドットコムに改善依頼するルールにしています。それ以外にも現場、支店に出向いてお手伝いをコンスタントに実施しています。
 Buildeeは建築現場における導入必須ツールに位置付けられており、使用した方が効率的であることは社内に浸透しています。導入の時点で使わない選択をする現場はほとんどありません。
 また、年に何回か各支店のIT推進担当者が集まる全国会議があり、そこで「Buildeeを全現場で使ってもらうこと」を目標に掲げ、展開率についての話し合いや情報共有をしています。

--鹿島にとってBuildeeとはどのようなものでしょうか

 鹿島の基幹システムと言えます。Buildeeから実績データを収集し、環境側面、現場安全集計、職種別集計、現場閉所管理システム等への展開を実施しています。
 10月のBuildeeリニューアル後は労務安全や入退場管理でも活用する計画で、建設キャリアアップシステム(CCUS)との連携も予定されているため、鹿島の生産活動でより重要なシステムになっていくと思います。

--今後期待することは

 Buildeeは鹿島の基幹システムであるがゆえにシステムに不具合が発生すると業務に非常に大きな影響を与えます。従って健全にシステムが稼働し続けるよう万全の対策をとっていただきたいのと、現場が本当に使いやすいシステムを目指して改善を継続して欲しいです。
 また、他のゼネコンもBuildeeを利用することで、元請だけでなく協力会社の業務の省力化にもつながります。職長はどのゼネコンの現場に行っても同じように作業間連絡調整会議を行えるようになるからです。建設業界全体の業務標準化・効率化に貢献することも期待しています。

大成建設  元請けと協力会社の共存共栄のツール / “すきま時間”使い業務短縮

 大成建設は2019年4月、建築、土木の両部門で『Buildee』の本格導入を開始した。機能性とコスト面が評価され、約50以上の作業所で導入されている。建築部門の取り組みについて、田中吉史建築総本部生産技術推進部次長に聞いた。

建築総本部生産技術推進部
次長 田中 吉史氏

 生産技術推進部は、TPOに合わせて作業所が使いやすいツールを紹介するのが役目です。作業間調整が監督の主たる業務ですが、大きな作業所は業務が多く、小さな作業所は職員の人数が少ないなどニーズは多様です。推進部門がさまざまなツールをそろえ、現場が選択して採用する仕組みをとっています。
 Buildeeは搬入出ゲート管理、帳票管理、現場配置計画、巡回記録などを電子化し、施工や安全管理の機能をオールインワンで使えます。当社では特に職人の作業や安全の管理のために毎日作成する『安全日誌』に活用しています。現場には工程に合わせて多くの職人が出入りしますが、日誌の作成を手書きやExcelで行うと紙やパソコンが不足するなど非効率になりがちです。タブレットやスマートフォンから簡単に入力できるBuildeeで代行することで、職長は空いた時間に日誌を打ち込み、インターネット経由で自動収集し、日々の業務の効率化に貢献しています。

--導入経緯と現場のメリット

 人手不足の折、良いツールはどんどん使わなければなりません。もともとJV現場で他社が活用しているのを知り、試行を経て2019年4月から導入開始しました。1現場月9800円で使用でき、費用対効果が高いのもメリットです。毎日繰り返す業務の効率化は現場の利益を上げる基本です。そこが評価され建築は30、土木は20の計50作業所が採用しています。
 職長のスマートフォン保持率も非常に高くなり、業務の“すきま時間”で入力し、時間を短縮できます。うまく仕事を回し、時間を有効活用して自分の能力の向上につなげる職長が増えています。
 支店が開く成功事例発表会でもBuildeeが報告されました。例えば休憩時間を利用して日誌の入力を促しているそうです。「一度入力できれば問題なく使える。機能が増えれば協力会社の生産性向上にもつながる」という職長の声が紹介されています。現場と職人の生産性は直結するため、元請けと協力会社の共存共栄が大切であり、その関係性を大切にした機能の発展が期待されます。

--ツールを普及させるために工夫していることは

 月1回の『月刊生産性向上新聞』を3年間継続して発行しています。建築総本部に在籍する約5000人の職員に見てもらうのが目的です。新技術の導入は“即効性”がキーワードになるため、すぐ使えて効果が上がる技術を掲載しています。Buildeeも数回紹介しました。
 新たな情報を伝えるとき最も良いのは口コミです。実際に使った現場職員の声を聞いてもらい、他の現場へと広がってほしいと思います。社内ツイッターでも発信しています。

--今後の普及で必要なことは

 Buildeeは低コストで多機能なため、スーパーゼネコンから中堅ゼネコンまで導入が進みつつあり、業界標準化の芽も出てきました。専門工事会社は複数のゼネコンの仕事をするため、同じシステムで対応できれば職長も習熟し、ゼネコン側も運用しやすくなります。共通化を進め、裾野を広げることが一番大切です。
 当社は作業所が採用するツールを選択しますが、本当に職人から「これがいる」と言われるシステムになれば、自然に広がるでしょう。各社でそうした声が集まり、横の展開が進めば、どの現場でも使えるようになります。現場の情報をみんなが共有できる状態を目指したいと思います。

『Buildee』鹿島、大成建設などスーパーゼネコン3社が導入 / オールインワンで機能提供

 イーリバースドットコムの 建設現場施工管理サービス『Buildee』は、2017年のリリースから右肩上がりでユーザー数が上昇し、ことし4月に10万ユーザーを超え、利用現場数も1800現場を突破した。同月には大成建設が建築・土木で運用を始め、これまで導入している鹿島などと合わせてスーパーゼネコン3社が利用を本格化している。低コストかつ現場の調整会議を支援する機能をオールインワンで提供する“基幹システム”として評価を高めている。
 Buildeeは、現場事務所のホワイトボードで管理している作業予定や作業計画の共有をパソコンやモバイル端末に置き換え、ネットワーク上で作業予定や実績を登録・確認するシステム。安全衛生日誌やKY記録などの各種帳票も電子化し、書類の作成や管理の効率化にも貢献する。
 例えば、毎日現場から配布される作業日程の帳票に職長が作業内容や人員、機材の搬入出予定などをスマートフォンやタブレットから入力すると、データが自動的に元請けに集約される。調整会議の場で各工程の一覧を見ながらスケジュールを確認、調整できる。
 本支店の担当者も現場のデータを共有し、現場ごとの状況を把握できるほか、安全管理状況、支払い、作業人員などを集計・分析して現場支援などに活用できる。

安全管理状況、作業人員など集計

 入力、確認は空き時間を有効利用できるため、時間短縮に貢献する。1日当たりの業務時間は、元請けが約2時間、協力会社は20分ほど短縮するという。1現場当たり月9800円で利用でき、協力会社の費用は発生しない。多様な機能を低コストで一括して利用できるのも普及が進む要因の1つだ。
 今秋には大幅なリニューアルを予定している。調整会議や労務安全に加え、入退場管理など関連するサービスへ対象を拡大し、現場全体のプラットフォームへとステップアップさせる方針だ。国土交通省の建設キャリアアップシステムともデータ連携する機能を搭載する。

施工管理システム『Buildee(ビルディー)』の詳細はこちら
https://www.e-reverse.com/service/buildee/

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