【360度映像コミュニケーションツール 「Nossa360」】現場の空間を遠隔地と丸ごと共有 | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

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【360度映像コミュニケーションツール 「Nossa360」】現場の空間を遠隔地と丸ごと共有

◆「まずはゼネコンの標準ツールに」Nossa代表取締役 福井高志氏

360度映像を使った新しいコミュニケーションシステムの開発に取り組むNossaは、360度カメラを活用して建設現場の映像や空間情報をリアルタイムで共有、配信する状況共有ソリューション「Nossa360(ノッササンロクマル)」を開発、提供している。閲覧者が360度映像を見たい方向に各自で動かしつつ会話できるだけでなく、画像の撮影・整理・共有までを一貫して実現するクラウドサービスが特長だ。既に大手ゼネコンの安全パトロールや現場視察、立ち会いなどの幅広い場面で利用が進み、追加機能の共同開発も活発だ。今後1年間で導入現場を360カ所と現状の7倍強に増やす計画。福井高志代表取締役は「まずは大手ゼネコンの全社的な標準ツールを目指す」と意気込む。

(ふくい・たかし)2010年神戸大経営学部卒後、同年住友商事入社。リスク管理職、AIベンチャーROXでデータ解析事業(物流予測や研修等)に従事。19年3月Nossa創業

新卒で住友商事に入社し、7年半の間にインフラ事業で上下水道に関わるビジネスや、海水を淡水化して飲み水にするプラント建設、運営にも携わった。途中2年間はブラジルにも駐在した。商社マンとして活躍した当時から「360度の空間全てを映像として扱い、コミュニケーションを取れれば業務がさらにスムーズになるのでは」と考えるようになった。

知人が経営するベンチャー企業を経て、2019年3月にNossaを起業。ブラジル人が驚いたときなどに発するポルトガル語を社名に冠し、「世の中にポジティブな驚きを生み出したい」との思いを込めた。

360度カメラのライブ配信機能は通常、5-30秒の遅延が発生し、双方向のコミュニケーションに適しているとは言い難い。商社勤務で感じていた課題をもとに開発した「Nossa360」であれば、建設現場さながらの圧倒的な情報量を持つ360度映像を最短わずか0.3秒と、遅延なく遠隔地に配信できる。
現場の配信者側は、スマートフォンと360度カメラだけの手軽な構成で、パソコンや高価な機材がなくとも移動しながらの配信が可能。「カメラの回転や傾きが補正された上で映像が配信されるため、閲覧側への影響を気にせず動き回ることが可能だ」(福井氏)。

一方、閲覧者は360度映像の好きな部分を自由に見回せるため、現場の全体像を能動的に把握できる。複数人で視聴する場合にも、それぞれが同時に、360度映像の好きな箇所を閲覧できる。

「まだ発展途上ではあるが勝負できる」と自信を示すように、既に大林組、竹中工務店、戸田建設などで現場活用が進む。ゼネコンなどからのフィードバックを最大限に反映し、共同開発や機能追加を重ねている。

一例として、竹中工務店との共同研究を経て、映像の代わりに360度の連続静止画をリアルタイム配信できる機能も実装した。画像を使うことで通信負荷の軽減、解像度の向上が見込めるだけでなく、通信が切れても撮影画像を端末にため、疎通復活後にまとめて送ることもできるという。通信環境が不安定な現場の状況確認にも最適だ。

竹中工務店と共同開発した360度静止画の連続撮影&配信機能

誰がどこを見ながら話しているかが分かる「視聴部分可視化機能」も特許出願中。「マルチアングル機能のみでは誰がどこの話をしているかが分からなくなってしまうが、この機能を使えばその心配もなくなる」(福井氏)。

各参加者がどこを見ているかをリアルタイムに 可視化する機能も特許出願中

◆現場の「過去」を丸ごと資産に
福井氏はあくまで「いつでも、どこからでも、過去から今までの全時点の現場確認ができるサービス」にこだわる。360度映像のリアルタイム配信技術をベースにしたコミュニケーションだけでなく、配信から撮影、整理、共有までトータルで実現できるのは、Nossa360だけだ。

具体的には現場で撮影した360度動画や画像を位置情報で図面上にマッピングし、自動的に時系列で図面上に整理。クラウド上に蓄積することで、時間や場所にしばられず過去の現場状況を確認できる。360度漏れなく保存でき、現場での撮影の手間は大きく削減。撮り漏れや撮り忘れがなくなる。関係者間での情報共有が圧倒的にスムーズになるほか、万一のトラブルの際にいつどこで何が起きていたか、現場の「過去」を振り返れる。福井氏は「将来的に一貫したデータが積み上がれば、人手不足の問題に直面している地域建設業にもメリットを感じてもらいやすい」とみている。

◆Teamsと連携

Teamsとの連携画面

7月からは、建設業でも利用者の多い米マイクロソフトの会議アプリ「Teams(チームズ)」の上で動くアプリとして、Nossa360の提供を始めた。参加者は使い慣れたTeamsに普段どおり参加するだけで、画面上で360度映像のリアルタイム配信を視聴できる。加えて通常の画面共有機能で映像を共有する場合、360度見回せるのは再生者のみ、参加者は全員同じ部分を見なければならないが、各自が能動的に閲覧でき、全員が現場に集まったような体験がオンライン上で実現する。
Teams連携版Nossa360は、同社を遠隔地の現場に見立て、オンラインで使用感を試せる。

問い合わせはinfo@nossa.co.jpまで。

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