【竹中工務店】AI利用の空調制御をオフィスビル・商業施設などへ展開 快適性と省エネ性能を両立 | 建設通信新聞Digital

5月8日 水曜日

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【竹中工務店】AI利用の空調制御をオフィスビル・商業施設などへ展開 快適性と省エネ性能を両立

 昨年9月にオープンした「三井ショッピングパーク ららぽーと名古屋みなとアクルス」における先導的な空調システムが、来館者の快適性と環境性能の両面で大きな効果を上げている。焦点となっているのは、設計・施工を手掛けた竹中工務店が導入した「AI(人工知能)を利用した省エネルギー空調制御システム」。オフィスビルなど他の用途への展開にも注目が集まる。

PMV空調制御のイメージ

 AIを利用した省エネルギー空調制御システムは、従来型の空調システムにAI技術を組み込むことで、来館者や施設の運営にとって最適な空調制御を提供する仕組み。
 館内のカメラ画像や熱量を計測できるサーモカメラの導入によって、来館者の服装(半袖・長袖・厚着といった着衣量)や年齢層、性別などの構成割合を推定。来館者の快適性に配慮した空調制御を実現する。
 商業施設の運営でポイントとなる来館者の快適性を維持しながら、年間で30%以上のCO2排出量の削減を見込むなど、快適性と省エネルギー性の両立を図ることができる点が特徴だ。
 人体の快適感に影響する6つの要素(温度、湿度、放射温度、気流、服装、活動量)で算出される指標を用いた「PMV空調」にAIによるカメラ画像の解析で取得した来館者の性別や年代、服装、といった各種データを活用。取得・解析したデータをフィードバックすることで、常に来館者の特性に合わせた最適な空調制御を提供していく。
 館内の人数データや天気予報、イベントなどの各種情報からエリアごとの人数の推移も予測。 この予測を基に多数の来館者が見込まれる場合にあらかじめ通常より多くの外気を導入しておくことで、外気の導入に要するエネルギーの削減も行う。
 実際に館内の人数予測などのビッグデータを解析することで翌日のエネルギー需要を推計。この需要予測を活用して、館内におけるエアコンの超高効率運転制御を実現していく。
 通常は固定値で運用されるGHP(ガスヒートポンプパッケージエアコン)の冷媒蒸発温度を可変させる制御は、日本で初の取り組みだという。
 快適性と省エネルギー性を両立するこの空調制御システムの仕組みは、商業施設だけでなく、オフィスビルなど他の用途にも適用できることから、同社として「さまざまな分野に積極的に提案・展開していく」方針を示す。

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