【記者座談会】土木学会、建築学会が全国大会/インフラと土木技術が果たす役割発信 | 建設通信新聞Digital

4月25日 木曜日

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【記者座談会】土木学会、建築学会が全国大会/インフラと土木技術が果たす役割発信

A 土木学会の「全国大会in四国」が3~5日まで高松市で開かれた。「レジリエントな社会の構築」がキーワードとなったね。
B 自然災害が多発・激甚化し、国民の目が防災・減災、国土強靱化に向いている。そうした中で、社会インフラと土木技術が果たす役割を改めて発信し、国土のあり方を視座するという姿勢が強く打ち出されていた。
A 社会インフラの機能維持に関する議論はどうだったかな。
C 林康雄会長は基調講演で、メンテナンス体制の強化を指摘していた。経営面を含め、地域の建設企業やコンサルタントが守り手として活躍し続けるため、「メンテナンスを産業化すべき」との発言が印象的だった。
B 担い手の確保・育成は社会インフラの更新・新設にも共通する。人材不足、技術力低下を補う観点で、林会長や全体討論会に参加した有識者はICTやAI(人工知能)、ロボティクスの導入を訴えていた。研究討論会や学術討論会では土木技術のほか、先進技術の活用による生産性向上、働き方改革についても話し合われた。土木業界が抱える課題を反映した内容が多かった。
D 世界の中で、低迷するGDP(国内総生産)の回復には社会インフラの集中投資が日本経済の成長エンジンになり得るとの見方もあった。
C インターナショナルラウンドテーブルには11カ国50人の外国人技術者・研究者が参加、「良い品質のインフラとは何か」について議論した。このテーマは、先のG20大阪サミットで「質の高いインフラ投資に関するG20原則」に基づいており、自然災害でもインフラが壊れずに機能し続けることはインクルーシブ社会の実現に寄与するとされている。

土木学会の全国大会で林会長は、「人口減少社会におけるインフラストラクチャーのあり方」と題し基調講演。その中で「レジリエントで活力ある社会の構築」に向け、社会資本の維持管理の重要性を改めて強調した

次代を見据え活発に建築の姿議論

A ところで、3~6日には日本建築学会の全国大会(北陸)が、石川県野々市市の金沢工業大扇が丘キャンパスを主会場に開かれたね。
E 北陸での開催は9年ぶり、金沢工業大での開催は17年ぶりだった。全国大会は120回目を数え、メモリアルな大会だった。平成から令和へ時代の移り変わるタイミングとも重なり、「次の時代は」をメインテーマに、4日間の会期中に計7068題の学術研究論文が発表されたほか、シンポジウムや建築デザイン発表会、学術講演会、研究協議会、パネルディスカッションなどさまざまなイベントを通じて、次代の建築の姿について活発な議論が展開された。
F 大きな節目に開かれた大会ということで、ICT関連、木造建築関連のパネルディスカッションなどが特に高い注目を集めていたように思う。「高層木造建物の夢と課題」をテーマにしたパネルディスカッションや、「建築・都市分野のVR・MR技術の展望」と題した研究協議会に実際に足を運んだけど、傍聴者が会場のキャパシティーをオーバーし、立ち見の姿が目立った。
E メモリアルといえば初日には、1919年にドイツで設立されたバウハウスの100周年をテーマにした記念講演会も開かれた。4日に開催された学会と全国建築系大学教育連絡協議会による「建築士資格と建築教育」についてのパネルディスカッションでは、改正建築士法が大学教育などに与える影響と、今後の教育のあり方について熱い討論が展開された。
A 平成から令和へと時代が移り変わる中、働き方改革、生産性向上、BIMの利活用、新たな業務報酬基準、改正建築士法など、さまざまな変化への対応が求められる中、次代を見据えた充実した内容の大会だったと言えそうだね。

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