【記者座談会】安倍首相が辞意表明 | 建設通信新聞Digital

5月5日 日曜日

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【記者座談会】安倍首相が辞意表明

A 安倍晋三首相が持病の悪化を理由として、8月28日に辞意を表明したが。
B 2012年の第2次安倍内閣発足以降、約7年8カ月にわたり政権を維持し、連続在任日数は佐藤栄作元首相を抜き歴代単独1位になったばかりだった。第1次政権を含む通算在任日数は19年11月に戦前の桂太郎の記録を抜いている。健康上の理由により首相の座を手放さざるを得なくなったのは、痛恨の極みだろう。
C 新型コロナウイルス感染症対策や21年に延期された東京オリンピック・パラリンピック開催など、まだまだやり残したことがあっただろうと思う。本人としても非常に残念に思っているのではないか。まずは、長い間お疲れ様でしたと言いたい。
A 安倍政権のこれまでの歩みはどうだったのだろう。
B 12年12月の衆院選で旧民主党に勝利した安倍首相は、5年ぶりに政権に返り咲いた。第2次安倍政権は、最大の目標を景気回復と位置付け、大胆な金融政策、機動的な財政出動、民間投資を喚起する成長戦略の3本の矢を柱とする、いわゆるアベノミクスによって、デフレからの脱却と持続的な経済成長を目指し、それまで停滞していた日本経済の立て直しに尽力した。
D 自民公明両党連立による第2次安倍政権が発足した12月26日の会見では、安倍首相以外の閣僚から「命を守る公共事業」「公共事業イコール悪は間違い」など、事前防災・減災やミッシングリンク解消の道路整備などを着実に進めることの重要性に言及する発言が相次いだ。国民の安全・安心な生活維持と経済成長に貢献する公共事業の重要性も強調した。
C 東日本大震災からの復興については、13年1月の国会開幕の所信表明演説で「政府の体制を大転換し、これまでの行政の縦割りを排し、復興庁がワンストップで要望を吸い上げ、現場主義を貫く」と述べ、現場重視の考えを表明した。
B その後、東京オリンピック・パラリンピックの誘致、25年国際博覧会の大阪開催の決定のほか、積極外交の展開による質の高いインフラ輸出の推進、防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策などといった政策を打ち出し、旧民主党政権下で低迷が続いていた建設業界にも活況をもたらした。

辞意を表明した安倍首相。日本経済の立て直しに尽力した

◆低迷が続いた建設業界に活況もたらす

A 建設業界からの反応はどうだろう。
B 日本建設業連合会の山内隆司会長は「アベノミクスによる経済対策を強力に推し進め、わが国経済の再生を図り、また、激甚化する自然災害に対しても『3カ年緊急対策』を始め、防災・減災、国土強靱化を推進し、国民の安全・安心を守るためのさまざまな政策について、しっかりと道筋をつけてもらった」とのコメントを寄せた。
C 全国建設業協会の奥村太加典会長は「東日本大震災などによる被災地の復旧・復興に全力で取り組まれるとともに、防災・減災、国土強靱化を強力に推進し、国民の安全・安心な生活づくりに力を尽くしてこられた」とコメントした。
A 次期総理には、菅義偉官房長官、岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長の3人が立候補を表明し、現時点では菅官房長官が有力視されている。新型コロナ感染防止対策と経済活動の両立は喫緊の課題だ。また、近年、災害が頻発化・激甚化し、想定外という言葉がありふれたものになってきている。国土強靱化のさらなる推進など国民の安全・安心のため、新総理には課題解決に全力を挙げて取り組んでほしい。

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