【記者座談会】担い手確保・働き方改革・生産性向上待ったなし 団体の総会シーズン概括 | 建設通信新聞Digital

5月4日 土曜日

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【記者座談会】担い手確保・働き方改革・生産性向上待ったなし 団体の総会シーズン概括

建設業界から初めて経団連の副会長に就任した大成建設の山内会長(写真中央)は、総会後の会見で建設現場での週休2日実現などに意欲を見せた


A 団体の総会シーズンも終盤に差し掛かってきたね。総会後の懇親会も含め、ことしはどんな雰囲気なのだろうか。
B ゼネコン各社が空前の好決算だったことなども影響してか、総会後の懇親パーティーはどこも盛況で、前年と比べても参加者が多いような気がする。参加者の表情も心なしか明るく、活気がある。
C やはり話題の中心は、担い手の確保に向けた働き方改革だろう。政府が3月に策定した『働き方改革実行計画』の存在は大きい。これまで時間外労働の上限規制の適用除外だった建設業に対し、5年の猶予期間をおいて罰則付きの上限規制を適用する政府方針により、否応なく改革を迫られているという側面もある。長時間労働の是正に向け、残された時間はそう長くない。
B 総会では、会長や来賓のあいさつにほぼ例外なく、週休2日と生産性向上というキーワードが織り込まれていた。あいさつからは、政府方針に沿って一気に改革を実現する意気込みと従来の慣習から脱却した場合の影響など、“体質改善”に向けた期待と不安が複雑に交錯している心情も読み取れる。
C 4月28日の総会で、業界の働き方改革を先導する日本建設業連合会の新会長に就任した山内隆司大成建設会長は、第一の課題として働き方改革の推進を挙げ、週休2日の実現を核とする長時間労働の是正に意欲を見せた。総会後の会見でも「まずは、担い手の確保・育成と生産性向上について、前会長に道筋をつけていただいた路線をしっかり踏襲し、全力で取り組んでいきたい」と意気込んでいたね。
A 山内会長は建設業界から初の経団連副会長にも就任した。5月31日の経団連総会後の会見で働き方改革の推進を建設業の最重点課題に挙げ、非効率な長時間労働の是正に向けた覚悟を表明していた。
C 新任と言えば、日本橋梁建設協会も役員改選で坂本眞日本ファブテック社長が新会長に就任した。5月26日の総会後会見で坂本会長は、「定着しないと、この業界の未来はない」と週休2日導入の推進に意欲的に取り組む構えを見せた。業界特有の課題を踏まえ、「働く人が満足感を得られる休日の制度を考えていく」とし、早期達成を目指す姿勢が印象に残った。
D 橋建協会員企業の2016年度鋼道路橋受注量は19万1504tとなり、統計を取り始めてから初めて20万tを割り込んだ。新設鋼橋の受注環境はこれまで以上に厳しい環境下にあるが、坂本会長は、「潜在需要は24万-25万tはある」とした上で、17年度は20万t以上の受注確保に向けた需要の掘り起しに強い決意を見せた。
B 橋関連団体は生産性向上に向けた「i-Bridge(アイ・ブリッジ)」の取り組みを17年度から加速させる。プレストレスト・コンクリート建設業協会は、おおむね5年間の活動方針を盛り込んだ「新ビジョン2017」(案)の重点課題の1つに生産性の向上を位置付けている。プレキャスト技術の活用による現場製作から工場製作へのシフトや、計画・設計から施工、維持管理まで一連の作業へのICT技術の活用に一段と弾みをつける方針だ。
A 国土交通省は17年度から、先導的に取り組んできたICT土工に続き、ICT舗装などへの工種の拡大とともに、橋梁のアイ・ブリッジ試行を始める。舗装や橋梁分野での生産性向上に向けた取り組みが一気に加速しそうだ。

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