【記者座談会】「働き方改革実行計画」から1年/建設キャリアアップシステムが始動 | 建設通信新聞Digital

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【記者座談会】「働き方改革実行計画」から1年/建設キャリアアップシステムが始動

日本建設業連合会が2月2日に都内で開いた建設キャリアアップシステムの会員向け説明会には、満席となる約300人が参加し、多くの質問が出された


A 政府が2017年3月に「働き方改革実行計画」を策定してから1年以上が経過した。建設関係団体にとって18年度はどのような1年になるかな。
B 実行計画に盛り込まれた建設業への罰則付き上限規制の適用を受け、17年度は時間外労働の段階的削減目標を盛り込んだ基本方針などの策定が各団体で相次いだ。18年度は、これまでの準備段階から実行段階へと移行する重要な1年になる。
C 働き方改革の中核となる週休2日に向けた取り組みも大きく動き出す。業界を先導する日本建設業連合会は、18年度から統一土曜閉所運動を展開する。会員企業の全事業所を対象に同年度は毎月第2土曜日、19年度は毎月第2、第4土曜日の統一閉所を強力に推進する。運動には建設業関係13団体も賛同するほか、国土交通省、厚生労働省、経団連、日本商工会議所、日本労働組合総連合の後援も得ている。
D 運動のキャッチフレーズに掲げる「働き方を変える。建設業を変えていく。~すべての現場を週休二日に~」の実現に向け、目に見える形で運動の展開に期待したい。
B 人口減少や少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少により、日本の建設業はこれまで経験したことがない担い手不足という大きな局面を迎える。国民生活や経済活動を支えるインフラ整備、維持管理の担い手である建設業の衰退を防ぐためにも、魅力ある産業への進化が欠かせない。改革を軌道に乗せるためには、「オール建設業」としての取り組みが求められている。

技能者の適正な評価と処遇の実現に期待

A 18年度は建設キャリアアップシステムがいよいよ始動する。団体の受け止め方はどうだろう。
E 週休2日の実現と建設キャリアアップシステムの普及を「2大事業」に位置付ける日建連は、17年12月に策定した推進方策(ロードマップ)に基づき、事業者、技能者、現場登録を推進する。19年9月までの目標として50万人の技能者登録を掲げており、協力会社の協力を得ながら代行申請を積極的に活用した活動を展開する。
F 3月30日に都内で開かれた建設キャリアアップシステム運営協議会の第3回総会では、各団体の委員がシステムへの登録を積極的に推進する意向を示す一方、スケジュールの遅れや運営体制を不安視する意見も出されていた。
E 4月上旬から特別講習を受講した登録基幹技能者、若年技能者を対象とした先行登録が始まり、5月からは事業者、技能者情報のインターネット受け付けが開始される見通しだが、既存システムとの連携を含め、システムがトラブルなく稼働するかどうかは未知数だ。代行申請を元請けから依頼された場合、協力会社側にかかる負担も大きい。運営協議会の総会では、「代行申請によるしわ寄せに対する率直な声はある」という意見も出た。また、「メリットの理解が十分でない中での強制登録という印象を与えないよう引き続き配慮してほしい」という声も上がった。
F 各団体の思いはさまざまだが、技能者のスキル・経験に応じた適正な評価と処遇の実現に向けてシステムが果たす役割への期待は一致している。技能者、事業者、現場登録のいずれが欠けても、新たな“制度インフラ”は有効に機能しない。協議会は18年度の目標として技能者100万人、事業者13万社の登録を掲げている。インフラ効果の早期発現に向けた登録をどれだけ推進することができるか。18年度は、システム普及の行方を占う、勝負の1年となりそうだ。

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