【未来の土木コンテスト】自由なアイデアを具現化するエンジニア! 「想像力×土木の力」で未来を | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

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【未来の土木コンテスト】自由なアイデアを具現化するエンジニア! 「想像力×土木の力」で未来を

選考委員と各チームなどによる記念撮影

 子どもたちの夢をプロの土木エンジニアが形にする、土木学会の「未来の土木コンテスト」最終選考会・表彰式が20日に開かれた。最終選考会では、1次選考を通過した優秀賞受賞者5人の「未来プランナー」とエンジニアがチームを組んで、「想像力」「土木の力」で紡ぎ出した“土木の未来”を披露し、最優秀賞には福島県の小学6年生、遠藤萌花さんの「遊びと笑顔で発電公園」が選ばれた。子どもたちの自由な発想は、土木エンジニアにとっても新たな着想を得る上での良い刺激になったようだ。
 東京都江東区の日本科学未来館で開かれた最終選考会の冒頭、コンテスト準備委員長の宮田喜壽防衛大教授は、「伸び伸びとした子どもの発想と、それを形にする土木の力を感じてもらえればと思っている」とあいさつした。
 続いて、選考委員長の高橋良和京大教授が「人間が人間らしい生活を送ることを支えている土木に、一番必要な要素は未来を創造する力だと思っている。土木技術は想像力、科学技術、情熱をすべて兼ね備えている。作品発表を前にわくわくしている」と述べた。

最優秀賞に輝いた「チーム遠藤」のプレゼンテーション

 コンテストは、市民と土木技術者がともに未来の社会を考えるというコンセプトで企画。土木学会創立100周年記念事業として14年に実施した、市民参加型の「未来のT(テクノロジー)&I(アイデア)コンテスト」の名称を変え、対象を小学生にして継続実施することにした。今回は小学4-6年の5人のアイデアが優秀賞に選ばれた。
 開催に当たっては、日本科学未来館(毛利衛館長)が共催し、国土交通省の後援を得た。夢を形にする作業には日本建設業連合会の土木工事技術委員会が全面的に協力し、作品ごとに同委員会メンバーがチームを結成して、アイデアの具現化に汗を流した。
 最終選考会は、5チームが7分間プレゼンテーションし、7人の選考委員が5分間質問する形で進められた。各チームの発表に対し、委員からは、「アイデアを実現するためのエンジニアの提案をどう思いましたか」「マイナスのイメージが強いものをプラスに変える発想がすばらしい」などの質問、感想が出された。
 「将来、土木エンジニアになりたいと思いましたか」との質問に、「はい」と元気よく答える未来プランナーもいた。

最優秀賞を受賞した「遊びと笑顔で発電公園」(土木学会提供)

 最優秀賞に輝いた「遊びと笑顔で発電公園」は、東日本大震災を経験した遠藤さんが、「子どもたちの力で電気がつくれないか」という思いから発案した。遠藤さんとエンジニアによる「チーム遠藤」は、モーターや振動、音力による最先端の発電技術を調査し、必要な電力確保に向けて検討した。
 1つの公園で滑り台やブランコなどに発電機を取り付け、1日3時間遊んだ場合の発電量は少なく、まとまった電力の確保が困難なことから、全国の公園で発電してワイヤレス送電で被災地に送電するという着想で検討した結果、今後の技術革新を加味すれば、全国約6万の公園からの送電で避難所60カ所(1万8000人)の電気を賄えることが分かった。
 表彰式でプレゼンターを務め、特別選考委員として選考にも加わった毛利館長は「それぞれの作品に特徴があり、すべてに1番をあげたいという思いで選考に当たった」と最終選考会を振り返った。続いて土木学会の塚田幸広専務理事が「伸び伸びとしたアイデアを土木エンジニアが着実にものにするという力強さを感じた。他分野から多様な技術を土木の世界に引き込むことで、さまざまな問題解決につながる可能性を改めて感じることができた」とあいさつした。

 優秀賞と入選作品は次のとおり(カッコ内は提案者、敬称略)。
 〈優秀賞〉
▽人の心に寄りそう土木の街(埼玉県の秋山隆蔵)
▽うちゅうにうかぶしぜん(東京都の島児明留)
▽道路のなくなった町(愛知県の田中楓里)
▽雷電池を使った未来の町(東京都の安江竣)。
 〈入選〉
▽宇宙と深海をつなぐエレベーター(神奈川県の梶田ひかり)
▽おいしい作物が食べられる農業電車(埼玉県の小山和緒)
▽空中公園(東京都の橋本奈津美)=フェイスブックいいね!賞。

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