【未来の土木コンテスト】最優秀は遠藤萌花さん(小6)の『遊びと笑顔で発電公園』 震災の経験から着想 | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

公式ブログ

【未来の土木コンテスト】最優秀は遠藤萌花さん(小6)の『遊びと笑顔で発電公園』 震災の経験から着想

毛利館長から賞状を受ける遠藤さん

 土木学会(大石久和会長)は20日、東京都江東区の日本科学未来館で小学生を対象とした「未来の土木コンテスト」の最終選考会・表彰式を開いた。1次選考を通過した優秀賞受賞者5人の「未来プランナー」とプロの土木エンジニアがタッグを組んで形にした夢を公開プレゼンテーションし、最優秀賞には福島県の小学6年生、遠藤萌花さんの『遊びと笑顔で発電公園』が選ばれた。
 コンテストは、日本科学未来館(毛利衛館長)が共催し、国土交通省が後援した。子どもたちの夢を形にする作業には日本建設業連合の土木工事技術委員会が全面的に協力した。
 最優秀賞に輝いた『遊びと笑顔で発電公園』は、2011年3月に発生した東日本大震災を経験した遠藤さんの「地震などで被災した時に、子どもたちの力で電気がつくれたらいいのに」という思いがベースになっている。アイデアの具現化に向けて「チーム遠藤」の土木エンジニアたちは、モーターや振動、音力による最先端の発電技術を調査し、発電量を試算した。
 1つの公園で滑り台やブランコなどに発電機を取り付け、1日3時間遊んだ場合の発電量は0.16kW時と少ないため、全国の公園で発電してワイヤレス送電で被災地に送電することにした。
 30年後の技術革新を想定し、発電効率を5倍、消費電力を10分の1とした場合、全国約6万の公園からの送電により、避難所60カ所(1万8000人)の電気を賄えると結論付けた。
 選考委員からは、「遊んで発電することができ、公園で遊ぶことによって精神的にも充実するというアイデアに感激した」などの感想が出された。
 コンテストは、子どもたちを始めとする市民と土木技術者が、未来の社会をともに考える機会として企画。土木学会創立100周年記念事業として14年に実施した、市民参加型の「未来のT(テクノロジー)&I(アイデア)コンテスト」の名称を変更し、継続実施することにした。今後も3年ごとに開催する方針だ。
 特別選考委員として選考に参加した毛利館長は、「それぞれの作品に特徴があり、選考委員全員がすべてに1番をあげたいという思いで選考に当たった。3年後の次回コンテストを楽しみにしている」とあいさつした。
 1次選考を通過した優秀賞と入選の計8作品をフェイスブックで公開し、「いいね!」の獲得数が最も多かった作品に贈られる「フェイスブックいいね!賞」には、橋本奈津美さん(東京都)の『空中公園』が選ばれた。

建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら