総合資格学院が主催する「建築新人戦2019(実行委員長・光嶋裕介神戸大客員准教授)」の公開審査会が21日、大阪市の梅田スカイビル・ステラホールで開かれた。全国から集まった552作品の中から、長橋佳穂さん(関東学院大3年生)の「こころのすみか」が栄えある最優秀新人賞に選ばれた。
また、総合資格学院賞には久保雪乃さん(近畿大3年生)の「委曲に食い入る美術館」、アーキテクツ・スタジオ・ジャパン賞には萩原良太さん(東京都市大3年生)の「孔と穴」がそれぞれ選ばれ、副賞が贈られた。
最優秀新人賞の「こころのすみか」は、横浜市黄金町を敷地にした戸建て住宅。歪曲した壁で包むようにプライベート空間を生み出しつつ、あいまいな境界とすることで外部にも滲み出すような住まいを提案している。
長橋さんは「黄金町はかつて混沌として人間の感情を吐き出す場所だったが、クリアランスされてしまい、人間らしさが失われた。この作品では、人間の中にあり続ける『こころ』に焦点を当て、感情をあらわにすることができる住空間を目指した」と設計意図を解説。「100選に選ばれたこと自体が奇跡。最優秀に選ばれるなんて夢にも思っていなかった。これに満足せず、楽しんで設計ができる建築家になれるよう、努力していきたい」と目を潤ませながら語った。
当日の審査は光嶋准教授のほか、金野千恵teco代表、藤原徹平横浜国立大大学院Y-GSA准教授、独立研究者の森田真生氏、平田晃久京大教授が担当した。
事前に選ばれた100作品の中から午前中に16作品を選び、そこから絞られた8作品で午後に公開プレゼンテーションした。
公開プレゼンの冒頭、福西健一総合資格学院関西本部本部長は「若い皆さんが建築家、建築技術者として社会でいち早く活躍できるよう、これからも支援していきたい」と岸隆司社長のあいさつを代読した。
続いて、光嶋准教授は「大会を立ち上げられた中村勇大先生が春に亡くなられ、実行委員のバトンを受け継いだ。そのポストに恥じない、新しい大会をつくっていきたい」と話した。
審査委員長を務めた平田教授は審査後、「世の中には不安があふれている。それを解決しようとしたとき、建築という切り口は相当面白い分野だ。この中からたくさんの人が仲間になってくれることを期待している」と講評を述べた。
最後に、学生を代表して原和奏さん(武庫川女子第3年生)は「これからも建築新人戦が夢への第1歩の舞台であり続けてほしい」と話し、大会を締めくくった。
