【過去最多728作品応募】「建築新人戦2020」最優秀賞は"空間に出会う喜びにあふれた作品" | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【過去最多728作品応募】「建築新人戦2020」最優秀賞は”空間に出会う喜びにあふれた作品”

 総合資格学院が主催する「建築新人戦2020」の公開審査会が12日、大阪市の大阪工業大学梅田キャンパスOIT梅田タワー常翔ホールで開かれた。全国115の教育機関から過去最多の728作品が集まり、小宮田麻理さん(近畿大2年)の『見えない家族のよりどころ』が最優秀賞に選出された。

最優秀賞作品


 審査委員長を務めた西沢立衛氏(SANAA、西沢立衛建築設計事務所)は「空間に出会う喜びにあふれた作品。自分の言葉がうまく建築に変換されており、空間形式だけを簡潔に説明するプレゼンも素晴らしい。この才能は財産だ」と高く評価した。

 最優秀作品は居室をらせん状に積み上げ、中央に生み出した吹き抜けで各部屋をつなぐ戸建て住宅のプロジェクト。小宮田さんは「いま生活している家で各部屋が孤立していることに違和感を感じていて、そこから着想した。作品には自信はなかったので、これほどの評価にびっくりしている。まだ実感は涌いていないが、これまで助けていただいた皆さんに感謝したい」と喜びを語った。

小宮田さん


 優秀賞には小野誠治さん(北大3年)の『お散歩団地』、關田重太郎さん(東京芸大2年)の『岩のウチ』、服部琴音さん(名城大3年)の『杜の家』が選ばれた。上位4人には表彰状とトロフィー、最終選考8選に選ばれた残りの4人には表彰状が贈られた。

 また、総合資格学院賞には16選の中から相川京介さん(金沢工大3年)の『玄関拡張による外部関係の再構築』、アーキテクツ・スタジオ・ジャパン社長賞には8選の中から有吉慶太さん(立命館大3年)の『ガラクタ物語』がそれぞれ選ばれた。

 審査会の冒頭、総合資格学院の福西健一関西本部本部長は「今回12回目を迎える。新型コロナウイルス感染症の拡大で開催が危ぶまれたが、関係者の大変なご努力で無事開くことができた。感謝を申し上げる。われわれは、建築を学ぶすべての学生の皆さんが将来社会で活躍できるよう、サポートしていく」とあいさつした。

 続いて実行委員長を務める光嶋裕介神戸大客員准教授は「コロナウイルスの猛威は建築のあり方にまで及んでいる。社会の変化にどう向き合って建築の力を発揮することができるのか、われわれ建築家はもちろん若い皆さんにとっても大切なことだ」と述べた。

 公開審査会の審査員は西沢氏のほか、斎藤幸平大阪市大大学院准教授、島田陽氏(タトアーキテクツ/島田陽建築設計事務所)、中川エリカ氏(中川エリカ建築設計事務所)、前田茂樹氏(GEO-GRAPHIC DESIGN LAB・)が担当した。

 受賞者を除く最終選考8選の作品は次のとおり(敬称略)。
 ▽虚心-蟠りのない暮らし=竹内勇真(日本福祉大2年)▽きっかけの道-図書館と交流センターをつなぐ都市のコンテクスト=佐藤翔人(名古屋市立大3年)▽街角で記憶を登る=守本愛弓(京都工芸繊維大3年)。

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