【大阪府建築士会】講演会「木造建築とまちづくり」開催 木造建築を取り巻く流れや今後の展望語る | 建設通信新聞Digital

4月27日 土曜日

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【大阪府建築士会】講演会「木造建築とまちづくり」開催 木造建築を取り巻く流れや今後の展望語る

 大阪府建築士会(岡本森廣会長)は5日、大阪市の阿倍野市民学習センターで講演会「木造建築とまちづくり」を開いた。会員ら約40人が参加。矢ヶ崎善太郎大阪電気通信大教授が日本の伝統的な建築の特色を解説したほか、日本建築士会連合会会長の三井所清典アルセッド建築研究所代表が現代の木造建築を取り巻く流れや今後の展望を語った。
 矢ヶ崎教授は、日本の伝統的な建築について「桂離宮(京都市)は始めからいまのかたちを想定して計画されたものではなく、時代ごとに試行錯誤して増築を繰り返したものだ」と話し、「可変性を持つことこそが日本らしい建築」と述べた。また、いずれも国宝に指定されている待庵(京都府大山崎町)、蜜庵(京都市)、如庵(愛知県犬山市)の3茶室についても「場所を移動させ、形も変わってきているにもかかわらず、その価値は高まり続けている」と話し、「日本で育まれた木造建築技術には、建築を使い続けるための知恵が集積している」と結論付けた。
 三井所代表は、日本における大正・昭和期の木造洋風建築を紹介し、戦局が激しくなるに従い木材の使用が制限され、終戦後も中大規模建築の不燃化促進のため木造が禁じられた経緯を紹介。その後、昭和50年代に木造の研究が再開し、60年代に建築基準法改正により木造の制限が緩和されたことによって、集成材やハイブリッド構造などによる木造建築が誕生した流れを解説した。
 また、アルセッド建築研究所で手掛けた木造プロジェクトや、「木を活かす建築推進協議会」(代表理事・大橋好光東京都市大教授)による木造建築の技術支援の取り組みを紹介し「日本には木が育つ環境がある。国土の3分の2は森林であり、この資源を使用しないのは不自然だ」と木造建築の促進を訴えた。

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