【オートデスク・AUJ】IoT・AI×BIM デザインと建設、製造を融合 製造工程見通した設計を提示 | 建設通信新聞Digital

4月24日 水曜日

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【オートデスク・AUJ】IoT・AI×BIM デザインと建設、製造を融合 製造工程見通した設計を提示

 オートデスクは9日、東京都港区のグランドニッコー東京で開いたユーザーイベント『Autodesk University Japan2019』(AUJ)のジェネラルセッションで、今後、BIMがクラウドでIoT(モノのインターネット)が収集した情報やAI(人工知能)とつながり、新しい生産工程を生む未来の形を提示した。米国オートデスク社のスコット・リースクラウド&プロダクションプロダクツ製造担当上級副社長は「(BIMが)さまざまな業種の働き方を変える技術になる」と強調した。
 AUJのオープニングあいさつでオートデスクの織田浩義社長は、一定の条件を設定すると条件の範囲で可能な無数の設計案を自動的に提示するソフト「ジェネレーティブデザイン」を活用している大和ハウス工業や、3DCGで設計案を検討している隈研吾建築都市設計事務所の事例などを示しながら、「製造、建築、土木、メディア、エンターテインメントなどさまざまな業種が融合して価値を創造することが求められている」とした。
 スコット・リース上級副社長も、ジェネレーティブデザインを使ったシミュレーションによってセメント製造機械を改善した欧州のメーカーを紹介した上で、「これまで3Dモデルを使ったシミュレーションは、設計したモノを検証するためのものだったが、クラウドがこの方程式をひっくり返した。シミュレーションから最適な形を探せるようになった」と強調。アイルランドの建設会社が、現場のさまざまな情報をIoTで収集してBIMモデルと連携し、AIで現場の事故リスクを予測するシステムを導入している事例も紹介し、「クラウドであらゆるものをつなげば、デザインと建設、製造を融合し、製造工程を見通した上で設計に生かすなど、より良い品質を追求できる」とした。
 続いて、国内での取り組みとして、オートデスクの濱地和雄氏を司会に大和ハウス工業の伊藤久晴技術本部BIM推進部次長と三菱地所設計R&D推進室の矢野健太郎氏が登壇。伊藤次長は長年取り組んできたBIMについて「デジタルトランスフォーメーション(DX)がBIMのゴールと考えるようになった。BIMを追求すると、デジタルで情報を一元化するというところに行き着いた」とし、ジェネレーティブデザインは「設計条件を設定するのも、評価するのも人間だが、人間が考えつかなったようなプランを提案してもらえる。敷地内での本当の意味での最適解を導くためのツールだ」とした。
 矢野氏は、まだ3Dモデルがグループ内で有効に活用しきれていない状況を踏まえ、「Revit」(レビット)とエクセルを「Dynamo」(ダイナモ)で連携する取り組みを始めた。その経験を踏まえ、「将来的にはDXの世界も見据えているが、まだまだIoTやAIで大量のデータを扱う環境が備わっていない」とした。これについて伊藤氏も「DXの世界は、基本となるBIMを全社的に移行するのがベースだ。段階を踏んでたどり着くことが大切だ」と指摘した。

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