【記者座談会】アジア・スマートシティー・ウィーク/AI切羽評価技術 | 建設通信新聞Digital

4月20日 土曜日

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【記者座談会】アジア・スマートシティー・ウィーク/AI切羽評価技術

A 横浜市で行われたアジア・スマートシティー・ウィークが11日に終了した。インフラ担当省庁や地方自治体、民間企業など国内外から約800人が集まったようだが、どのようなイベントだったかな。
B スマートシティーに関し、国土交通省、内閣府、横浜市がそれぞれ主催した3つの国際会合が開かれた。国交省主催の日ASEANスマートシティ・ネットワーク・ハイレベル会合は初開催で、ASEAN(東南アジア諸国連合)と協力する内容の成果文書を採択した。
A なぜASEANなの。
B 経済発展に伴って都市化が急速に進み、交通渋滞や水管理などの都市課題が顕在化しているため、AI(人工知能)などの先端技術を使って都市課題を解決するスマートシティーに関心が高い。日本はまちづくり分野における「質の高いインフラ投資」と位置付け、ASEANを足掛かりに海外展開する狙いだ。
C ASEANは市場として有望なことに加え、国土全体を3Dモデル化しているシンガポールなど、日本より先駆的な取り組みを行う都市がある。「学び合う」ことも目的の1つだ。民間企業は新たなビジネスチャンスと注目している。住友商事は、ベトナムに5G(第5世代移動通信システム)や顔認証技術などを導入した都市を開発する。公共交通再編につながる可能性があるMaaS(モビリティーのサービス化)もスマートシティーの1つで、建設業が参画する動きがある。
D スマートシティーは「都市開発のデジタル化」と言い換えることができ、GAFAなどの巨大IT企業が強力なライバルとなる。日本企業が対抗していくためには官民が一体となって、相手先の都市が抱えるニーズにきめ細く対応していくことが大事だ。

西松建設のAI切羽評価システムの判定内容

イノベーションの引き金 業界標準狙う

A ところで最近、ゼネコンから山岳トンネルの切羽をAIで評価する技術の発表が多いと思うけど。
E 直近では安藤ハザマがエルグベンチャーズと共同で、切羽監視カメラで撮影した画像から作業サイクルを判別するシステムを発表した。西松建設も、sMedioと共同でAIを使った切羽評価技術を発表している。両社とも、数年前から研究開発を進めてきた技術で、一段とレベルアップしている。飛島建設も、AIを使った切羽評価技術を沖縄県名護市のトンネルで適用している。少し前になるが、戸田建設もRistと共同で山岳トンネル内をドローンが自律飛行して発破の良否を自動判定する技術を発表していた。レーダーや画像から自動的に切羽崩落を監視するシステムを開発中のゼネコンも多い。
A 開発が加速している理由は何か。
E 18年度から、国交省の各地方整備局で「新技術導入促進(II)型」の発注が相次いでいる。実用段階に達していなかったり、研究開発段階の技術を現場で検証する提案を求める方式で、テーマとして「AIなどを活用したトンネル切羽等の地山判定手法」が提示されている。国交省がゼネコンによる技術開発を促している分野であり、検証の場ができることで技術開発もどんどん活発化しているのだろう。
F 発注者が積算や設計もできないような新技術の開発を促し、社会実装を国挙げて後押しする施策は「Society5.0」の実現を目指す政府にとって重要な取り組みだ。イノベーションを起こすトリガー技術を生み出せれば、特定分野のデファクトスタンダードを獲得できるので、建設業界にとっては大きなチャンスだ。

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