【土地の有効活用】都市みらい推進機構「土地活用モデル大賞」 全国の多様な事例を表彰 | 建設通信新聞Digital

5月6日 月曜日

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【土地の有効活用】都市みらい推進機構「土地活用モデル大賞」 全国の多様な事例を表彰

 都市みらい推進機構は、土地の有効活用や適切な維持管理に取り組む事例を表彰する「令和元年度土地活用モデル大賞」を発表した。最も優れた国土交通大臣賞は宮城県東松島市の防災体験型宿泊施設「KIBOTCHA(キボッチャ)」、都市みらい推進機構理事長賞は千葉県南房総市の「シラハマ校舎」、審査委員長賞は東京都日野市の「多摩平の森て・と・てテラス」熊本市の「熊本城桜の馬場『桜の小路』飲食物販施設設置事業」の2件がそれぞれ選ばれた。
 KIBOTCHAは、東日本大震災で被災し復旧が困難で移転した小学校跡を、防災体験型宿泊施設として活用するプロジェクトで2017年に竣工した。施設には宿泊施設、研修ルーム、体験学習スペース、レストラン、入浴施設などを整備した。ファミリー向けのキャンプや防災体験、企業向けの研修事業や社員旅行も取り組み、地元だけでなく他市他県からの集客にも注力している。土地利用の制限が課されたエリアで、プロジェクトの独創性、防災教育の観点に基づいた施設運営や取組内容の汎用性があり、地域の重要課題である防災と観光の両面からのアプローチが持続可能な土地活用を実現した。

防災体験型宿泊施設「KIBOTCHA」

KIBOTCHAの防災体験ゾーン

 シラハマ校舎は千葉県最南端に位置する複合施設で、過疎や観光集客など地域の課題を、地元の企業や人で解決するコミュニティーデザインを意図した廃校活用プロジェクトだ。地場産業の衰退、都心部への人口流出、少子高齢化などの課題に対し、レストランやコワーキングスペース、シェアオフィスを充実して内外の人的交流を図る狙いがある。公的な補助金や大企業からの支援を受けない民間企業が運営・整備を担当するのも特徴の1つ。民間ベースの事業で収益を保ち、地域の新しい雇用創出や二地域居住に伴う交流人口の増加に貢献するモデル事例として評価を得た。

校舎と校庭を活用したシラハマ校舎

 審査委員長賞は多様な民間企業が協力し合うプロジェクトの2件が受賞した。
 多摩平の森て・と・てテラスは、都市再生機構(UR)多摩平の森(旧多摩平団地)の老朽化などに伴う建替事業の一環で、公募によって別々に選定された6つの法人が連携して、多世代交流や医療福祉健康の拠点づくりを実現した。6つの法人は「できることから少しずつ」を行動指針に保育、社会教育、スポーツ、医療、介護などのサービスやイベントの実施、施設運営の協調を図っている。
 地域、市、UR、事業者の相互協力のもと、自然なつながりを継続することで、住み慣れた地域に安心して暮らせる環境づくりや地域交流のハブを形成する。団地再生で整備する多様な屋内外の空間を、健康増進やコミュニティー形成など生涯活躍のまちづくりに効果的に活用したことなどが受賞につながった。
 熊本城桜の馬場『桜の小路』飲食物販施設設置事業は、熊本城の歴史的価値や集客ポテンシャルを生かしつつ、市営駐車車の活用で観光地の滞留機能を強化する商業施設の整備プロジェクト。財政の観点で行政単独の施設整備・運営が困難なため、底地は市の所有のまま、上物の商業施設は地域の多様なステークホルダーが出資する民間企業が管理運営している。
 地域の多様な関係者が一丸で新しい土地活用にチャレンジし、熊本地震からの復興・活性化にも熊本城という地域随一の地域資源の活用で貢献した。地域の事業者が自発的に協議・協力して地域資源の魅力を高め、経済再生に取り組むモデル事例となった。

桜の馬場。元は更地だった 場所が活性化した

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