【記憶が未来つくる原動力に】YKKAPが講演会を開催 建築家の田根剛氏が自身の思想や作品を紹介 | 建設通信新聞Digital

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【記憶が未来つくる原動力に】YKKAPが講演会を開催 建築家の田根剛氏が自身の思想や作品を紹介

 YKKAPは7日、兵庫県宝塚市の宝塚ホテルでイベント「ARCHITECTURE MEETS…」を開いた。ゼネコンや設計事務所などから約110人が参加し、講演では建築家の田根剛氏(アトリエ・ツヨシ・タネ・アーキテクツ代表)が、自身の設計思想や作品を紹介した。

田根氏

 田根氏はまず、「建築は未来をつくる仕事だが、ただ新しい建築物をつくるのではなく、建設地にどういった歴史があるかを調べる考古学的リサーチを行っている。(過去の)記憶が未来をつくる原動力だ」と自身の設計手法を説明。
 26歳の時に国際コンペで最優秀賞に輝いた「エストニア国立博物館」の設計では、計画敷地に残っている旧ソ連時代の軍用滑走路を活用し、その延長線上に博物館があるようなプランとした。
 弘前れんが倉庫美術館では、赤れんがの倉庫をリノベーションし、「記憶を継承し、建築時の精神を引き延ばす『延築』を目指した」と語り、れんがの壁はPC鋼線で補強し、屋根はシードル酒の製造工場だったことにちなみ、シードルゴールド色に葺き替えた。
 このほか、コンペのファイナルまで進んだ新国立競技場の「古墳スタジアム」、都会でありながら自然を感じられる住宅「Todoroki House in Valley」なども紹介し、最後に「建築においては、動かせない『場所』と無限の『空間』、そして『時間』と『記憶』といった対比するような要素があるが、これらをうまく一つにすることが仕事だと思っている」と締めくくった。
 このイベントは、名建築につつまれながら著名建築家の講演を聞くもので、2年前から開催している。当初は東京だけだったが、昨年から東京と関西の2会場で行っている。

ゼネコンや設計事務所から約110人が参加

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