【大成建設】技術Cに実大大型壁加熱炉を導入・運用開始 耐火性能に優れた新材料・新工法の開発へ | 建設通信新聞Digital

4月26日 金曜日

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【大成建設】技術Cに実大大型壁加熱炉を導入・運用開始 耐火性能に優れた新材料・新工法の開発へ

 大成建設は、技術センター(横浜市)の拡充計画の一環として、業界で初めて実大試験体を長時間・急速加熱可能な大型壁加熱炉を導入し、11月から運用を開始した。長時間耐火の耐力壁・防火区画、防火戸・扉・開口部、シールドトンネル用セグメントなど、耐火性能に優れた新材料・新工法の開発を進める。近年、活用が広がっている木質材の耐火試験でも活用する。 壁や扉などの建築部材の耐火性能評価ではこれまで、建築基準法の仕様規定で階数・部位に応じて加熱時間が定められており、加熱時間最大2時間、加熱温度最大1000度強が求められていた。ただ、建築基準法で性能設計が導入され、室内の可燃物の量や開口条件などに基づいて加熱時間が決まることになった。
 エントランスなどの加熱物量が少ない開口部では火災時間の設定が仕様規定の場合より短くなる一方で、リネン室や倉庫など可燃物量が多く開口部が少ない部屋では、最長6時間程度の火災を想定する必要があり、耐火温度も1200度強まで耐えられるようにする必要がある。部材の載荷加熱試験では、6時間1200度で非損傷性や遮熱性、遮炎性が対応可能な部材かを調べる。土木分野でも、シールドトンネルの構造体に求められる耐火温度が発注者によって規定されており、主に約5分で1200度にまで到達するトンネル火災特有の加熱曲線(RABT)をクリアする部材が求められる。
 今回、導入した大型壁加熱炉は、メインバーナー20台と、補助バーナー2台、加力ジャッキ・可動はり、反力はり、集煙フードを備える。有効加熱寸法が幅3.5m、高さ3.4mと業界最大級で、載荷も最大1000キロニュートンまで鉛直方向にかけられる。加熱時間は、最長6時間が可能で、性能規定で求められる過酷な加熱条件に対応できる。メインバーナーで任意の時間・温度を設定して建築部材に応じて柔軟に試験できるほか、補助バーナーを併用することで道路トンネルに求められる5分で1200度到達という条件に対応する。これまで外注していた試験をタイムリーに実施できるようになる。
 12月にも、自主テーマでの試験で初めて本格活用する予定だ。

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