扱う素材もスチールやアルミ、ステンレス、鋳物、ガラス、木など多岐にわたる。柱や梁など鋼材の形状から支柱の接合部、開口部、柱脚部などポール各所の技術開発を進め、耐久性や施工効率に優れたポールを実現してきた。表面処理では独自の塗料開発なども手掛け、耐候性の高いアクリルシリコン樹脂系塗装やフッ素樹脂系塗装、有機溶剤を使わず防食性の高い粉体塗装、張り紙防止処理などが可能。用途や設置場所などの要求に合わせて加工技術や表面処理を組み合わせた仕様にするため、同工場で生産する製品のうち標準品は2割を下回る。
鋼材加工では、品種別に6つの加工ラインを設けている。主力製品の1つであるボルトジョイント式組立の防災無線柱「エースマスト」の場合、接合部となる鋼管端部にプレス機で拡縮管加工をした後、接合部の穴あけやナットの溶接などを施す。拡縮管加工のプレス機は500tと350tの2台を保有しており、新山英雄取締役群馬工場長は「拡縮管技術は業界でも先駆けたものを持っている」と強調する。
表面塗装は、協力工場でポールに溶融亜鉛めっき処理をした後、塗装をより強力に密着させる下地処理として、リン酸亜鉛系の化成処理で被膜をつくる。有機溶剤を使った塗装では、塗装後に加熱乾燥させることで長尺ポールを1日で仕上げる全長336mのラインや、大型製品に対応するバッチラインなどを備える。有機溶剤が不要の粉体塗装は加熱したポールを酢酸ビニル系のパウダーが入った流動槽に浸漬することで、厚みのある防食性の高い塗装を実現する。完成した製品はグループ会社のシングン物流が輸送する。クレーン付を始め計34台のトラックに加え、建柱車、高所作業車も1台ずつ保有。長尺のポールでも専門の運転手が製品を傷つけることなく現場まで運搬する。
同社はこれまで、グループで一体となり、創意と工夫に満ちた高品質なポールを提供してきた。石原社長は「今後は長寿命で街に合ったユニバーサルデザインの製品が要求される」と考えており、若手技術者への積極的な市場調査を要請する。20年の東京五輪やインバウンドの増加、自動運転技術の発展も事業環境に大きな変化をもたらすと見込んでおり、「案内のサインをはじめ、情報環境を整えるため、ITなどこれまでになかった要素がまちづくりに入ってくる」と将来の多様な需要を見据えている。新たな需要をとらえ、さらなる成長のためにも「地域に愛される会社となり、これまで築き上げてきたネットワークを生かしたい」と意気込む。