【記者座談会】20年3月期第2四半期決算出そろう | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

公式ブログ

【記者座談会】20年3月期第2四半期決算出そろう

A 大手・準大手26社の2020年3月期第2四半期の決算が出そろったね。
B 6社が連結の売上・営業利益・経常利益・純利益の項目で過去最高、売上高だけをみても11社が過去最高という結果だ。単体の完成工事総利益(粗利)率も26社中16社が10%を超え、土木については前田建設と安藤ハザマが20%超。数字だけ見れば、売上・利益とも好調と言うしかない。
A 不安材料があるのか。
C 受注だ。26社中20社が前期比減で、特に土木の減少が大きい企業が多い。期初予想の段階で前期比減としている企業がほとんどなので、予想どおりと言える。とはいえ、かなり売り上げと受注の額がかけ離れて手持ち工事消化に偏重している企業もある。もともとガス・電気・鉄道など民間土木の下期発注が予定されていた上、「参院選の影響で公共工事の発注が上期から下期にずれ込み、発注が下期に集中している」と口をそろえ、通期では予想を達成できるとみている。心配なのは、ほとんどすべての企業が同じことを言っている点だ。期初予想に数百億円単位で届いていない企業は、大型工事を複数受注しなければならない。でも、下期の案件に全社が集中して、果たして全社が受注できるだろうか。期初予想を達成するために無理して受注しにいくようなことがあれば、せっかく利益面で好調だった土木の環境が一変しかねない。かといって受注を適切に積み上げなければ、手持ち工事を食いつぶすことになり、来期がもっと厳しくなる。
B 公共工事の投資額は当面、安定していそうだから、かつてのような安値競争にはならないだろうけれど、環境悪化の“兆し”といったところか。

下期に適切な受注量を確保できるかが、今後の市場環境のかぎを握る

設備、道路舗装はおおむね増収

A 設備工事企業の業績はどうだったの。
D 電気設備工事大手5社のうち、受注高が前年同期実績を上回ったのは、きんでんだけだった。売上高は4社が上回っている。施工力との見合いで4社の受注は下回ったものの、高水準を確保したと言える。通期は3社が受注増、2社が受注減とみている。売上高は5社とも伸び、うち4社が増収増益の見込みだ。20年4月に電力会社の発送電分離があることから、工事予算の抑制や競争入札の拡大が見込まれている。このため、各社は生産性の向上と収益力拡大に向けた取り組みを一層加速させるだろう。
E 空調設備工事上場大手6社は、3社の受注高が前年同期実績を上回り、3社が下回った。豊富な手持ち工事を順調に消化し、6社すべてが増収営業増益となった。売上総利益率や粗利率も4社が改善した。通期では、これまで順調に伸ばしてきた受注高が減速する見込みで、5社が減少するとの予想を立てている。売上高は4社が増収予想だ。
F 通信設備工事大手の受注高は、3社とも前期の経営統合による事業規模拡大を反映し、4割弱から7割弱増えた。売上高も3割から6割伸ばした。通期は3社とも増収増益を見込んでいる。
A 道路舗装大手の状況は。
G 大手8社は、繰り越し工事の順調な消化などによって全社が増収となった。受注高や各利益面でも増加傾向が目立っている。上期は台風や豪雨などの自然災害に多く見舞われたことで工事への影響も懸念されたが、事業量の増加や施工の効率化などによる利益率の改善が利益向上につながったという見解を複数社が示した。特に、これまで利益面にマイナスの影響をもたらしていた原材料価格の高騰については、「昨年と比較して安定してきた」という認識が広がっている。

建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら